日本などが実施している燃料補助金について、アジア開発銀行(ADB)チーフエコノミストのアルバート・パク氏は、最も支援を必要とする層に対象を限定すべきだと提言した。中東情勢の緊張長期化で財政が圧迫されていることが背景にある。

パク氏はADBの年次総会が開かれているウズベキスタンのサマルカンドでインタビューに応じ、「可能であれば、補助金は一律の適用ではなく、脆弱(ぜいじゃく)な層に対象を絞るべきだというのが各国に対するわれわれの助言だ」と述べた。さらに各国政府に対し、財源を温存するために「できるだけ早く」対応を見直すべきだと語った。

ADBチーフエコノミストのアルバート・パク氏

日本は財政圧力の高まりに直面している。高市早苗政権の拡張財政を巡る懸念が強まる中、国債利回りが上昇している。

中東紛争の影響でガソリン価格が1リットルあたり約190円まで上昇したことを受け、日本政府は補助金により170円前後に抑えている。ロイター通信によると、日本は7-9月にかけて電力およびガスの補助金を再導入することも検討している。

日本の10年国債利回りは4月30日に2.5%を上回り、約30年ぶりの高水準となった。こうした市場の動きは、より広範な財政不安を反映している。

「財政赤字が高水準で、金利も上昇していることから、財政の持続可能性に対する懸念が市場で一段と高まっているのは確実だ。それが国債利回りの上昇につながっている可能性がある」とパク氏は話した。国際通貨基金(IMF)によると、日本の債務残高の対国内総生産(GDP)比率は今年204%に達する見通しだ。

パク氏は、信頼性のある財政戦略を明確に示すことが市場の信認を維持する上で重要だと付け加えた。その上で、日本政府が財政規律へのコミットメントを示している点にも言及した。

金融政策については、ADBは成長を損ないかねない尚早な引き締めを避けるよう中央銀行に求めており、物価上昇圧力がエネルギー価格以外にも広がった場合にのみ対応することを推奨している。パク氏は、日本ではそうした二次的影響(エネルギー以外への物価波及)を示す明確な証拠は現時点では見られないとした一方、時間の経過とともに現れる可能性があるとの見方を示した。

原題:ADB Urges Countries to Limit Fuel Subsidies to Vulnerable Groups(抜粋)

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