4月に見られたクレジット市場の上昇について、エイゴン・アセット・マネジメントやバークレイズなどの懐疑派は、同じくらい急速に上昇が消える可能性があるとみて、準備している。

世界の投資適格債は昨年8月以来の好成績を記録、ハイイールド債も2023年以来の好調となり、それぞれ1.3%、2.3%のプラスのリターンとなった。投資家は中東での戦争の終結を広く見込んでおり、米国の企業業績もこれまでのところ堅調なため、「心配せずに陽気にいこう」との市場のムード(バークレイズのストラテジスト)を後押ししてきた。

しかし先週には、原油相場が4年ぶりの高値に達し、インフレ高進懸念を背景に米国債利回りは急上昇した。ホルムズ海峡は事実上の封鎖が続いている。

3月に市場を不安に陥れたリスクの多くは、完全には解消されていない。一部の投資家やストラテジストは、市場の下落に備えてクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を購入したり、期間が短めの債券を買い入れたりすることを提案している。

エイゴンのポートフォリオマネジャー、アレックス・ペルテシュキ氏は「スプレッドは拡大するとみているが、その時期は分からない」と述べ、防御的なポジションとして残存期間の短い債券で利回りを確保することを検討していると話した。

ホルムズ海峡は地政学的リスクとインフレリスクの焦点となっている。米国とイスラエルが2月末に対イラン攻撃を開始し、イランが海峡を通過する船舶への攻撃を示唆して以降、航行はほぼ停止状態にある。

消費者は既にエネルギー価格や輸送コストの上昇により、負担増を感じ始めている。年内の利下げ実施が見込まれていた各国・地位の中央銀行も、インフレ再燃の兆候を見極めるため判断を保留している状況だ。

ペルテシュキ氏は「石油だけでなく、肥料なども含めて海峡を通過する物資の流れが本格的に回復するようには見受けられない」と語った。

ヘッジコストは比較的低い。5年物のCDX北米投資適格指数は1日に約54ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)で取引されており、元本1000万ドル(約15億7000万円)のヘッジには年間約5万4000ドルの費用がかかる計算だ。3月終盤には約68bpだった。

バークレイズによると、イランでの戦争開始後の数週間で投資家は防御的なヘッジを積み増し、CDS市場の主要指標「iTraxxメイン指数」で一時的にリスクに対してショートのポジションを取っていた。一部の投資家は現在もヘッジを維持している。

トゥエンティフォー・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、フェリペ・ビジャロエル氏は「戦争が再燃するのか、海峡が閉鎖されたままなのか、状況を見極めているところだ」と。ビジャロエル氏は3月初めにiTraxxクロスオーバーのCDS指数を活用してヘッジを強化し、現在もこのポジションを一部維持している。

3月終盤までには、中東での戦争の最悪期は過ぎたとの見方から動きは反転し、現在のポジショニングは過去と比べてロングに傾いていると、バークレイズは指摘する。

コメルツ銀行のクレジット戦略責任者、マルコ・シュトクル氏は先週、株式のボラティリティーや経済活動データなど複数の指標に照らしてクレジットスプレッドを分析した。そのモデルは、「現在のマクロ環境が続けば、スプレッドがいかに脆弱(ぜいじゃく)であるか」を示したという。

モルガン・スタンレーのアロン・ベッカー氏らストラテジストは1日のリポートで、短期的な下振れリスクへのヘッジとしてCDS指数オプションを推奨した。バークレイズのストラテジストも数日前に同様の見解を示している。

バークレイズのストラテジストは、適度なスプレッド拡大に備えるヘッジとして、オプションの一種であるペイヤー・スプレッドを推奨している。欧州では7月までに75bpに向けた動きを想定したiTraxxメインの取引を選好し、米国では70bp前後を目標とするCDX投資適格指数のポジションを提示している。

同社ストラテジストは顧客向けリポートで、安心感が広がる一方で未解決のマクロリスクが幾つか残っており、ヘッジを再構築する時期だと指摘。「仮に紛争が近く終結しても、サプライチェーンの混乱が続く可能性があり、正常化までには時間を要すると見込まれ、インフレが高止まりする恐れがある」との見方を示した。

各国・地域の中銀は新たな環境に対応しており、行動には至っていないものの、一段とタカ派的なトーンを強めている。欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は4月30日、6月の利上げ検討を示唆し、イングランド銀行(英中銀)の当局者も今後利上げを検討する可能性を示した。両中銀はいずれも30日の会合では政策金利を据え置いた。

エイゴンのペルテシュキ氏は「先回りしようとすれば、コストがかさむ可能性がある」として、「性急な判断は避ける」べきだと論じた。

原題:Aegon, Barclays Say Prepare for Market Pain: Credit Weekly(抜粋)

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