トランプ米大統領はイランが提示した最新の和平案について、自身を満足させるには不十分な可能性があるとの認識を示した。

イランの提案には、ホルムズ海峡の再開や米国による海上封鎖の解除、イランとレバノンでの戦闘終結に向けた合意を巡る協議に1カ月の期限を設定することが含まれていると、ニュースサイトのアクシオスが事情に詳しい関係者2人の話として伝えた。

アクシオスによると、このような合意が成立した場合、その後さらに1カ月間の協議が行われ、イランの核開発計画を巡る合意を目指すことになる。

イランの準国営タスニム通信は最新の提案について、30日以内の戦争完全終結と、イランへの再攻撃をしないという保証を求める内容だと伝えた。イラン周辺からの米軍撤退や海上封鎖の解除、制裁の撤廃、賠償金の支払いなど、これまでのイランの要求を改めて示したものだという。核問題については言及していない。

イランは戦争終結に向けた14項目の提案について、仲介役であるパキスタンを通じて米国からの回答を受け取り、現在検討している。バガエイ外務省報道官の発言として同国のテレビが報じた。米国側の回答内容の詳細には触れていない。

トランプ氏は2日、フロリダ州で記者団に対し、イランが提示した「合意のコンセプト」について報告を受けたと述べた。その直後に、今回の提案が満足のいくものになるか、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で疑問を呈した。

トランプ氏はその中で「イランがわれわれに送ってきたばかりの計画をまもなく検討するが、彼らが過去47年にわたり人類と世界に対して行ってきたことに対し、まだ十分に大きな代償を払っていない以上、受け入れ可能なものとは想定できない」とコメントした。

和平交渉の進展の遅れに不満を示しているトランプ氏は1日に記者団に対し、これまでにイランが提示した内容に満足していないと語っていた。ホルムズ海峡の封鎖を受けてエネルギー価格は急騰しており、ホワイトハウスでは11月の中間選挙で共和党が大敗する可能性への懸念が生じている。

トランプ氏は1日の時点で、「先ほどイランとの対話があった。今後の推移を見守ろう」と述べた上で、新たな軍事行動の再開は望まない考えを示唆。「だが、私は満足していないと言っておく」とも話していた。

中東全域では今回の戦争の影響で、イランとレバノンを中心に数千人が死亡している。

イラン外務省は3日、アラグチ外相が戦争終結に向けた最新の取り組みについてオマーンの外相に説明したと明らかにした。電話協議の詳細は公表されなかった。

膠着(こうちゃく)状態の中心にあるのがホルムズ海峡だ。イランは、同国指導部が再開に応じる前に、米国がイランの港湾に対する海上封鎖を解除する必要があると主張している。

ホワイトハウスはこれに対し、この封鎖がイラン経済を圧迫し、同国の原油輸出を抑え込むことで効果を上げているとしている。米国としては海軍による作戦を継続することで、イランに譲歩を迫る狙いだ。

ブルームバーグは2日、貯蔵タンクが満杯になるのに伴い、イランが既に原油生産の抑制を開始していると報じた。しかし、同国はこうした事態への対応について数十年にわたる経験を持つ。事情に詳しいイラン高官によると、同国はタンクが完全に満杯になるのを待つのではなく、容量の制約に先手を打つ形で原油生産を減らしている。

原油相場は先週、戦争開始以降の最高値を更新後、1日には下落した。北海ブレント原油は1バレル当たり約108ドルで取引を終え、週間ベースの上昇率は2.7%となった。米国のガソリン小売価格は大幅上昇し、現在は1ガロン=4ドルを大きく上回っている。

トランプ氏はこれまで、戦争が終結すればエネルギー価格は急速に下がると繰り返し主張するとともに、イラン指導部内の対立が協議停滞の原因だと述べてきた。

だが多くの中東専門家は、内紛が主因との見方に異議を唱えており、戦術面での意見の違いはあるものの、対米強硬姿勢を取る点ではイラン当局はおおむね一致していると指摘する。

国際情勢のリスク分析を手掛けるユーラシア・グループのアナリスト、クリフ・クプチャン、グレゴリー・ブリュー両氏はリポートで、「現在の協議停滞はトランプ政権が示唆するような不一致が原因ではない」と指摘。「進展が緩慢なのは、イラン指導部が交渉力を高め、一層有利な提案を米国から引き出そうとしているためだ」との分析を示した。

原題:Trump Casts Doubts on Iran Peace Proposal as Details Emerge (2)(抜粋)

(新たな情報を5段落目に追加して更新します)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.