トランプ米大統領は2日、イランが提示した最新の和平案を検討すると表明した。ただ、イランが不適切な行動を取れば同国の軍事目標への攻撃再開を排除しない考えを示した。

トランプ氏はフロリダ州で記者団に対し、イランが提示した「合意のコンセプト」について報告を受けたと述べた。その直後に、今回の提案が満足のいくものになるか、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で疑問を呈した。

トランプ氏はその中で「イランがわれわれに送ってきたばかりの計画をまもなく検討するが、彼らが過去47年にわたり人類と世界に対して行ってきたことに対し、まだ十分に大きな代償を払っていない以上、受け入れ可能なものとは想定できない」とコメントした。

和平交渉の進展の遅れに不満を示しているトランプ氏は1日に記者団に対し、これまでにイランが提示した内容に満足していないと語っていた。ホルムズ海峡の封鎖を受けてエネルギー価格は急騰しており、ホワイトハウスでは11月の中間選挙で共和党が大敗する可能性への懸念が生じている。

トランプ氏は1日の時点で、「先ほどイランとの対話があった。今後の推移を見守ろう」と述べた上で、新たな軍事行動の再開は望まない考えを示唆。「だが、私は満足していないと言っておく」とも話していた。

中東全域では今回の戦争の影響で、イランとレバノンを中心に数千人が死亡している。

動画:トランプ大統領は協議で前進があったとしつつも、 「最終的に合意に至るかどうかは分からない」と発言

イランのアラグチ外相は、米国が姿勢を改め、「過度な要求や威圧的な発言、挑発的な行動」を避けるのであれば、外交努力を継続する用意があるとする一方、イラン軍は「完全な警戒態勢」を維持していると語った。

膠着(こうちゃく)状態の中心にあるのがホルムズ海峡だ。イランは、同国指導部が再開に応じる前に、米国がイランの港湾に対する海上封鎖を解除する必要があると主張している。

ホワイトハウスはこれに対し、この封鎖がイラン経済を圧迫し、同国の原油輸出を抑え込むことで効果を上げているとしている。米国としては海軍による作戦を継続することで、イランに譲歩を迫る狙いだ。

ブルームバーグは2日、貯蔵タンクが満杯になるのに伴い、イランが既に原油生産の抑制を開始していると報じた。しかし、同国はこうした事態への対応について数十年にわたる経験を持つ。事情に詳しいイラン高官によると、同国はタンクが完全に満杯になるのを待つのではなく、容量の制約に先手を打つ形で原油生産を減らしている。

原油相場は先週、戦争開始以降の最高値を更新後、1日には下落した。北海ブレント原油は1バレル当たり約108ドルで取引を終え、週間ベースの上昇率は2.7%となった。米国のガソリン小売価格は大幅上昇し、現在は1ガロン=4ドルを大きく上回っている。

イランにはかなりの耐性があると、米戦略国際問題研究所(CSIS)の中東プログラムディレクター、モナ・ヤクービアン氏

トランプ氏はこれまで、戦争が終結すればエネルギー価格は急速に下がると繰り返し主張するとともに、イラン指導部内の対立が協議停滞の原因だと述べてきた。

だが多くの中東専門家は、内紛が主因との見方に異議を唱えており、戦術面での意見の違いはあるものの、対米強硬姿勢を取る点ではイラン当局はおおむね一致していると指摘する。

国際情勢のリスク分析を手掛けるユーラシア・グループのアナリスト、クリフ・クプチャン、グレゴリー・ブリュー両氏はリポートで、「現在の協議停滞はトランプ政権が示唆するような不一致が原因ではない」と指摘。「進展が緩慢なのは、イラン指導部が交渉力を高め、一層有利な提案を米国から引き出そうとしているためだ」との分析を示した。

原題:Trump Reviewing Iran’s Latest Offer But Doesn’t Rule Out Strike(抜粋)

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