(ブルームバーグ):イランでの戦争に伴うエネルギーショックが米経済の見通しに影を落とす可能性がある。一方で、米労働市場にはその影響を示す兆候はまだ顕在化していない。
エコノミストの予想では、8日に発表される4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比6万2000人増と堅調な伸びとなり、賃金上昇率の加速、失業率の横ばい、労働参加率の上昇が示されると見込まれている。ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査に基づけば、民間部門の雇用はさらに強い伸びとなった可能性がある。

こうした見通しは、年初3カ月間に見られた雇用の大きな変動の収束だけでなく、2025年の状態を上回る水準への回帰を意味することになる。25年は民間部門の雇用増加が月間平均で2万5000人にとどまっていた。
楽観的な予想は、過去数週間に発表された高頻度データにも基づいている。新規失業保険申請件数は4月終盤に1969年以来の低水準に落ち込み、ADPリサーチ・インスティテュートの民間部門雇用の週間指標も持ち直している。
もっとも、5日に発表予定の3月の求人件数は前月からほぼ変わらないと予想されている。過去数年の「低採用・低解雇」の傾向から米国が脱却したかどうかは明確でないことが示される見通しだ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の米国担当チーフエコノミスト、アナ・ウォン氏らは「米経済はこれまでのところ、石油ショックに対して耐性を示しており、一部の分野はむしろ戦争の恩恵を受けている」とコメント。「貿易統計では米国のエネルギー輸出が4月にかけて急増したことが示される見込みだ」と指摘する。
その上で、「経済活動が持ちこたえている理由の一つは、労働市場の状況が安定しつつあると見受けられ、むしろ改善している可能性さえあることだ。求人件数はおおむね横ばいで推移している様子で、中小企業の採用は滞る一方、大企業は引き続き採用を行っている」との分析を示した。
4月29日の米金利据え置き決定に基づけば、連邦準備制度の当局者は現時点でエネルギー価格上昇について、成長への打撃よりもインフレへの影響に注目していると見受けられる。投資家は、物価圧力を巡る懸念の度合いを見極める手がかりを得ようと、金融当局者の発言機会を注視すると見込まれる。
ニューヨーク連銀総裁のウィリアムズ総裁は4日、セントルイス連銀のムサレム総裁は6日に発言の機会がある。8日にはウォラー連邦準備制度理事会(FRB)理事、ボウマンFRB副議長(銀行監督担当)、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁、シカゴ連銀のグールズビー総裁がパネル討論に参加する予定だ。
このほか市場では、オーストラリア準備銀行(中央銀行)の5日の金利決定が注目イベントとなる。政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を3会合連続で引き上げて、4.35%とするかどうかに関心が集まっている。
原題:US Jobs Report to Show Resilience in Wake of War: Eco Week Ahead(抜粋)
--取材協力:Robert Jameson、Swati Pandey、Vince Golle、Beril Akman、Charlie Duxbury、Laura Dhillon Kane、Mark Evans、Monique Vanek、Ott Ummelas、Piotr Skolimowski.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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