(ブルームバーグ):日本銀行は28日の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%程度に据え置くことを賛成6・反対3の賛成多数で決めた。新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)を公表し、2026年度の消費者物価見通しを大幅に上方修正した。
政策金利の維持は3会合連続。政策金利の据え置きには利上げに積極的な高田創、田村直樹に加え、中立とみられていた中川順子の3人の審議委員が反対し、1%への利上げを提案した。植田和男総裁の体制下で、3人が反対票を投じたのは初めて。初の反対票を投じた中川氏は、次回の6月会合を最後に任期満了で退任する予定。後任には金融緩和を重視するリフレ派の佐藤綾野氏が就任する。
先行きの金融政策運営について、重視している基調的な物価上昇率が「2%に近づいている」とし、実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえれば、「経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と説明。利上げ路線を継続していく姿勢を明確にした。
今回の会合は、中東情勢を反映した経済・物価見通しと、それを踏まえた利上げの是非に関する判断が注目を集めていた。政策金利の引き上げは見送られたものの、政策委員内の物価上振れリスクへの警戒感が鮮明になった。午後の植田総裁の記者会見では、早期の追加利上げを示唆するかが焦点となる。
大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、中川氏が反対票を投じたことについて「少なくとも中東情勢の景気の下振れよりも上振れリスクを重視したという意味で、タカ派的な判断をした」と指摘。次の利上げのタイミングは6月から7月と置いているが、「できるかどうかは中東情勢次第」との見方を示した。
会合結果の発表後、円相場は対ドルで上昇し、一時158円99銭を付けた。発表直前は159円50銭付近で推移していた。株式市場では日経平均株価が下げ幅を拡大し、一時6万円を割り込んだ。債券市場では先物相場が下落している。金利スワップ市場が見込む次回6月会合での利上げ予想は73%程度となり、会合前の60%程度から上昇した。
ブルームバーグが実施したエコノミスト調査では、80%が政策金利の据え置きを予想していた。1.0%程度に引き上げる時期については、最多の55%が6月会合を予想。全体の88%が7月会合までの追加利上げを見込んでいた。
ブルームバーグ・エコノミクスの見方
「われわれは引き続き日銀が6月に政策金利を1%へ引き上げるとの見方を維持する。もっとも、景気刺激重視の高市早苗政権からの圧力で日銀の独立性が揺らいでいる状況下でははっきりとしない。その圧力は、3月会合で見られた日銀のタカ派姿勢を和らげる要因となったとわれわれはみているからだ」
木村太郎シニアエコノミスト
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展望リポート
展望リポートでは、26年度の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)見通しを2.8%上昇とし、従来の前年比1.9%上昇から大きく引き上げた。一方、実質国内総生産(GDP)見通しは、26年度を0.5%増(従来は1.0%増)、27年度を0.7%増(同0.8%増)に下方修正した。
政策判断で重視している基調的な物価上昇率は、26年度後半から27年度にかけて物価安定目標とおおむね整合的な水準となり、その後も同程度で推移すると説明。物価目標の実現時期について、従来から大きな変化はなかった。
見通しのリスクに関しては、26年度を中心に物価は上振れリスク、経済は下振れリスクの方が大きいとし、これまでの中立との見方からリスクの拡大が示された。その上で、企業の賃金・価格設定行動が積極化している中で、「特に物価上昇率が大きく上振れていくリスク」の顕在化に警戒感を示した。
S&Pグローバルマーケットインテリジェンスの田口はるみ主席エコノミストは、日銀は物価上振れリスクよりも景気下支えに軸足を置き、利上げを見送ったと分析する。植田総裁は利上げ継続の姿勢を維持しながらも、時期に関してはフリーハンドを確保するとし、次の利上げのメインシナリオは7月とみている。
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--取材協力:関根裕之、野原良明、氏兼敬子.
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