AI相場は「期待で買う局面」から「利益で選ぶ局面」へ
AI需要は、日経平均6万円を支えた主要因の一つであり、今後も株高を支える材料であり続ける可能性は高い。ただし、それは「AI」という言葉への期待だけではない。
生成AIの利用が広がれば、半導体、サーバー、データセンター、冷却設備、電力、通信ネットワークが必要になる。ここでいう「実物投資を伴う需要」とは、AIの利用拡大に呼応して、こうした設備やインフラへの支出が実際に増えている状況を指す。
こうした動きは、すでに複数のデータによって裏づけられている。データセンター支出の拡大やAI関連貿易の伸びは、AI需要が半導体、サーバー、データセンター、電力関連設備などへの需要として現れていることを示している。
また、AI関連ベンチャー投資に目を向ければ、ITインフラ・ホスティング分野への資金流入が際立っている。AI需要はもはや単なる期待ではなく、設備投資と資金の流れに支えられている。
もっとも、実需の存在と、AI関連株の株価水準が全面的に正当化されることは別問題である。AI関連株や大型テクノロジー株は主要指数を上回る一方、上昇は特定銘柄に偏っている。
期待が一部の企業に集中するほど、好材料が続く局面では株価上昇を増幅させる。しかし、期待が下振れした場合には、その集中が相場全体の調整要因にもなり得る。
したがって、今後の焦点は、AI需要があるかどうかではなく、その需要を企業がどれだけ売上・利益・キャッシュフローへと結実させ得るかである。
データセンター投資やAI関連貿易の拡大は、AI相場の基盤を確かに支えている。しかし、株価は最終的には「需要がある」という事実ではなく、「その需要からいかなる利益を生み出せるか」によって評価される。
日経平均6万円という節目は、AI需要への高い期待を映すと同時に、その期待に見合う企業収益が厳しく問われ始めたことを示している。AI相場は、「期待感を背景に広範に買い進める局面」から、「業績を基軸として銘柄を選別する段階」へ移り始めている。
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(※情報提供、記事執筆:第一ライフ資産運用経済研究所 政策調査部 主席研究員 柏村 祐)