米マーケットメーカー(値付け)大手、シタデル・セキュリティーズは、イラン戦争が激化せず解決に近づく場合、ホルムズ海峡を巡るこう着状態が続いている中でも、株式と債券が同時に上昇する可能性があるとの見方を示した。

シタデル・セキュリティーズの欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域債券セールス責任者のノーシャド・シャー氏は顧客向けリポートで、正式な合意には至っていないものの、さらなる緊張激化のコストが高すぎるため、米国とイランの双方には最終的に合意に達するインセンティブがあると指摘した。

シャー氏によると、トランプ米大統領は中間選挙を前に戦争を収束させ国内政策に軸足を移す意向を示している一方、イランも経済再建と国内の安定を優先するとみられる。最も可能性の高いシナリオは、イランが核濃縮に関して部分的な制約を受け入れる代わりに、可逆的な制裁緩和を得るという限定的な枠組みだという。

シャー氏は「最終的には包括的な合意というよりも、時間を稼ぎ、当面の緊張激化リスクを抑え、根本的な対立を解消しないまま原油市場を安定させるための『凍結的な取り決め』に近いものになるだろう」と述べ、こうした合意でも「ホルムズ海峡の再開に注目する市場や投資家にとっては十分だ」との見方を示した。

シャー氏は、地政学リスクの緩和により、欧州や英国の中央銀行が、市場の織り込みよりも利上げを行わなくなるとみている。一方で、リスクとして、緩和的な金融環境がインフレを押し上げる可能性があるとも指摘した。特に米国ではすでに、人工知能(AI)への投資、財政刺激、労働需給のひっ迫が、物価上昇圧力となっている。

米連邦準備制度理事会(FRB)の指導部交代の可能性にもリスクがあるという。トランプ氏が次期議長候補に挙げているケビン・ウォーシュ氏は、極端な価格変動を除外した、基調的なインフレ指標を重視している。

シャー氏は、ウォーシュ氏のようなアプローチでは、インフレ動向の変化への対応が遅れる可能性があると警告した。転換点はしばしば「分布の端」に現れ、いわゆるトリム平均指標では除外されてしまうためだ。

シャー氏は「ウォーシュは自分に都合の良いインフレ指標を選好している。これは、パンデミック時のインフレに対するFRBの対応が遅れたと批判してきた自身の主張と矛盾している」と述べた。

原題:Citadel Securities Sees Markets Buoyed as Iran Risks Recede(抜粋)

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