米アルファベット傘下グーグルの人工知能(AI)開発部門、DeepMind(ディープマインド)の研究者だったデービッド・シルバー氏は、自身が英国を拠点に立ち上げた新会社イネファブル・インテリジェンスの資金として11億ドル(約1750億円)を調達した。設立間もないAI企業が巨額の資金を確保する事例が最近相次いでいる。

イネファブル創業後初の資金調達ラウンドでは、ベンチャーキャピタルの米セコイア・キャピタルとライトスピード・ベンチャー・パートナーズが主導。エヌビディアやグーグル、インデックス・ベンチャーズも英国政府などとともに参加した。

このラウンドで、イネファブルの企業価値は約51億ドルと評価された。

シルバー氏は、試行錯誤を繰り返しながらAIエージェントが決定を下していく強化学習を専門的に研究している。同社の発表文によると、この研究を基にAI開発を進め、人間が生成したデータに依存せず自己学習できるAIシステム「スーパーラーナー」の創出を目標とする。

「成功すれば、これはダーウィンに匹敵する科学的ブレークスルーになる」と発表文で同社は表明した。

著名なコンピューター科学者が新たな手法で研究分野を前進させようと設立する新世代のAI研究施設、「ネオラボ」に投資家の関心は極めて強い。設立からわずか数カ月で、製品どころか事業計画さえない企業に対してすら、投資資金が集まる。

今年に入りネオラボはすでに数十億ドルを調達しているが、イネファブルの今回のラウンドは新興企業としては最大級に位置付けられる。イネファブル以外では、メタ・プラットフォームズの元チーフサイエンティスト、ヤン・ルカン氏が自ら設立した新興企業AMIラボの資金として10億ドルを調達。AI研究で知られるリチャード・ソーチャー氏も、自身の研究所について評価額40億ドルで投資家と資金調達交渉を行っている。

シルバー氏は、囲碁で人間の世界チャンピオンを初めて破ったAIシステム「AlphaGo(アルファ碁)」を開発した中心人物。この出来事は新たなAI開発の波を引き起こし、AI技術が極めて複雑な問題を解決できるようになるほど発達し得るという理論を後押しした。

シルバー氏はユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の教授でもあり、同氏の新会社はAI関連新興企業を支援するため英政府が最近設立した基金から資金支援を受けている。

原題:Sequoia, Nvidia Back DeepMind Alumnus at $5.1 Billion Value (1)(抜粋)

--取材協力:Shona Ghosh、Seth Fiegerman、Yazhou Sun.

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