ツイッターを買収してから3年余り。2023年にXへ名称変更した同サービスについて、イーロン・マスク氏は「何でもできるアプリ」に変えるという長年の目標の実現が近づいているとしている。中核となるのが、今月中の一般公開を約束した新たな金融サービスだ。

同氏が先月示した時期を踏まえると、「X Money」は近く一般公開を始める見通しだ。試験利用している初期ユーザーは、3%のキャッシュバックや6%の預金金利など、競争力のある特典を評価している。預金金利は全米平均の約15倍に相当する。

初期アクセスを持つユーザーの報告によると、X Moneyは個人間送金の無料サービスも提供する見込み。また、マスク氏の人工知能(AI)企業であるxAIが開発したAIコンシェルジュが支出を追跡し、過去の取引を整理する機能も備えるとされる。

ペイパル・ホールディングスの共同創業者としてシリコンバレーで頭角を現したマスク氏は、中国で普及したような「スーパーアプリ」の構築には決済機能が不可欠だとみている。マスク氏は2月、社員に対し「望めば生活のすべてをXアプリ上で完結できるようにしたい」と語った。

実現すれば、X Moneyはソーシャルメディアと金融の接点に位置づけられ、米国では同様の規模では前例のない取り組みとなる。ただ、スーパーアプリは米国ではまだ広く定着していない。料金や機能の全容、本格展開の時期など、マスク氏の決済事業にはなお不明な点が残っている。

イーロン・マスク氏

マスク氏は大胆な公約を掲げながら、自ら掲げた期限に遅れることでも知られる。X Moneyはニューヨーク州を含む複数の州で決済ライセンスをまだ取得していないなど、規制面の課題にも直面している。

利用者向け特典の内容もなお不透明だ。6%という預金金利は、ソーファイ・テクノロジーズやブロック、レンディングクラブといった個人向け金融サービスを上回る水準となるが、この金利が恒久的なものか期間限定のものかについて、同社は明らかにしていない。Xの広報担当者はコメント要請に応じなかった。

もっとも、マスク氏には他のフィンテック創業者にはない強みもある。月間6億人のユーザーを抱えるプラットフォームに加え、すでにXを通じて報酬を得ているコンテンツ制作者の基盤、さらに先駆的な決済サービスの構築に関わった自身の経歴だ。

初期ユーザーによると、現在Xからエンゲージメントに応じた報酬を受け取っているクリエーターは、決済プラットフォームがストライプからX Moneyへ切り替えられる予定だ。これにより、当初から一定数のアクティブ口座が確保される。

テスト段階の一部ユーザーはすでに、アプリのチャット機能やプロフィールを通じて、X Moneyで個人間送金を行っている。Xのアカウントが凍結や停止となった場合にX Moneyの口座がどう扱われるかは明らかになっていない。

バーンスタインのシニアリサーチアナリスト、ハーシタ・ラワット氏は、個人間送金は日常的に利用される人気機能ではあるものの、提供企業にとっては採算の取りにくいサービスになりがちだと指摘する。

X Moneyは6%の預金金利など提供する可能性

原題:Musk Vies to Turn X Into Super App With Banking Tool Near Launch(抜粋)

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