イーロン・マスク氏は最近、「『お金では幸せは買えない』と言った人は、本当にその通りだと分かっていたに違いない」と、自身が所有するSNS「X」に投稿した。

今や世界一の富豪となった同氏は、新たな肩書でその格言をさらに大きな規模で試すことになりそうだ。世界初の「トリリオネア(資産1兆ドル以上の大富豪)」だ。

マスク氏が創業した米宇宙開発企業スペースXの株価は、上場初日の12日に19%高の160.95ドルで取引を終えた。これにより同社の企業価値は2兆ドル超に急拡大した。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、マスク氏の資産は現在、かつては想像もできなかった1兆1000億ドル(約176兆円)に達している。これは世界第2位の富豪であるグーグル共同創業者ラリー・ペイジ氏の資産の3倍強に相当する。

Photographer: Aaron Schwartz/CNP/Bloomberg

ブルームバーグのビリオネア指数が初めて1000億ドルを超える資産を記録してからまだ10年を経過していない。その節目をマスク氏は2020年にあっさりと突破した。その後、同氏は世界富豪ランキングの頂点を独走してきた。

まず電気自動車(EV)テスラが史上有数の好成績を収めた銘柄に成長し、その後はスペースXへの投資機会を求める投資家が殺到した。スペースXは現在、世界で最も価値の高い企業の一角を占めている。

1兆ドルの資産はスイスの国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する規模で、その大きさはほとんど想像を超えている。昨年、世界で最も高収入のヘッジファンド運用者として34億ドルを稼いだスティーブ・コーエン氏でさえ、同額を稼ぎ続けても1兆ドルに到達するまで約300年を要する計算になる。

また、マスク氏の14人の子どもが同氏の資産を均等に相続した場合、それぞれが世界の富豪ランキングで上位30位以内に入ることになる。

独立系報酬コンサルタントのダン・ウォルター氏は、「これは世代を超えて受け継がれる資産という話ではない」と述べ、「もはや無限に近い規模だ」と話した。

マスク氏(54)にとって、これは歴史的な節目となる。同氏は既に、その莫大(ばくだい)な資産によって世界で最も強い影響力を持つ一方、最も賛否の分かれる人物の1人となっている。そして、自身のビジョンの実現のためには資産投入をためらわない。

22年には「ウォーク(社会正義に目覚めた)思想のウイルス」に対抗するためとしてツイッター(現X)を買収し、自身の世界観を色濃く反映した人工知能(AI)チャットボットの開発を支援したほか、寄付を通じてトランプ氏のホワイトハウス返り咲きを後押しした。

24年の米連邦選挙でマスク氏が投じた2億9100万ドル超は、現在の純資産の0.03%にも満たない。これは、資産100万ドルの人が291ドルを寄付するのと同程度の負担に相当する。

動画:世界初の「トリリオネア」となったマスク氏に関するリポート

原題:Elon Musk Is World’s First Trillionaire After SpaceX IPO (1)(抜粋)

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