(ブルームバーグ):人工知能(AI)は生活のあらゆる側面に影響を及ぼそうとしている。残念ながら、それには暗く犯罪的な側面も例外ではない。
筆者は6カ月前から同僚と、AIツールの台頭がどのように子どもを狙う性的加害を助長し、性的画像の作成をかつてなく簡単にしたかを調査してきた。これらの画像や動画は完全に作り物の場合もあるが、多くは性的な意図のない日常的な子どもの写真をAIで改変したものであり、実在する子どもの姿が想像を絶する形にゆがめられている。
こうした犯罪を追う捜査官はどれが本物か判別できないことがあり、危険が差し迫っている子どもを救う能力が損なわれている。実在しない子どもを何時間、何日、何週間も追跡している間に、現実の子どもが被害に遭っているリスクがあると、複数の法執行当局者が語った。
この記事はこのテーマに関する連載の最新回で、年内に続報が予定されている。テクノロジーの問題も深刻だが、私が驚いたのは児童安全捜査官が直面する最大級の問題が、AIではなく、議会が十分な予算を認めないことだった点だ。
米国には児童性的犯罪を捜査する特別部隊として、インターネット自動犯罪タスクフォース(ICAC)が61設置されている。これらの予算は主に議会が決めるが、AIの普及で捜査件数が急増しているにもかかわらず、予算はほぼ横ばいだ。2025年は4070万ドル(約65億円)と、23年より減少し、連邦捜査局(FBI)予算の1日分程度に過ぎない。
さらに悪いことに、通常は秋に実行される予算配分は年々遅れており、今年は4月初旬の時点で3つのICACが今会計年度(昨年10月開始)分をまだ受け取っていない。メンタルヘルスや訓練の資金も未配分で、関係者らはなぜ資金が届かないのか知らされていないと語る。
子どもの安全に関わる人々との対話から、この資源不足が重大な問題であることは明らかだった。人員採用や高価な技術導入が難しい中で上がった声をいくつか紹介しよう。
「窮地に追い詰められている」
「この量をどう処理しろと言うのか。もう限界だ」
「現状は国家的な恥だ」
子どもの安全は超党派の課題とされ、民主・共和両党ともこれを重視するという。しかし予算編成を見る限り、それは行動による裏づけがない。米国はAI分野で世界を主導することを目指し、企業への制約を最小限に抑えてスピーディーな開発を許している。
当然、そのスピードは意図せぬ結果を招く。子どもを守れないことが、その一つである可能性があることは残念だ。
原題:Child Safety Officers Need More Money to Fight AI: Tech In Depth(抜粋)
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