(ブルームバーグ):米大リーグ(MLB)ニューヨーク・メッツの連敗が止まらないのはなぜなのか。ファンは責任の所在を探して躍起になっている。
まずスケープゴートに挙げられたのは、民主社会主義者の新人市長、ゾーラン・マムダニ氏だ。今月9日に本拠地シティフィールドで、球団マスコットのミスター・メットとミセス・メットをハグしたことから、メッツは一度も勝っていない。ソーシャルメディアでは「マムダニの呪い」という投稿が拡散されている。12連敗(21日の時点)は球団にとって2002年以来の長期スランプだ。
マムダニ市長は21日、野球とは無関係の記者会見で質問を受け「シーズンはまだ始まったばかりなので、まだ私はチームを信じている。ニューヨーク中のメッツ・ファンの多くもそうだ」と発言。「きょうのところはマンビーノ市長と呼ばれることを受け入れよう」と語った。マンビーノはバンビーノにかけた言葉。ボストン・レッドソックスがベーブ・ルースを放出して以来、86年間ワールドシリーズで勝てなかったのはバンビーノ(ベーブ・ルースのニックネーム)の呪いだと、ファンの間では長年言われてきた。
「勝利を祈り続ける気持ちは、すべてのメッツ・ファンと共有している。これも市長としての責任の一部であり、潔く受け入れるしかない」と市長は述べた。

ホームでの敗戦が重なるにつれ、今シーズンへの期待も薄れている。シティフィールドがあるフラッシング・メドウズ・コロナ・パークでは、まだ桜の花が残っている。MLBには過去にレギュラーシーズンで12連敗を喫して、プレーオフに進出したチームはない。メッツの成績は21日の時点で7勝16敗。ナショナル・リーグのイーストディビジョンでは首位のアトランタ・ブレーブスに8.5ゲーム差を付けられ、最下位に甘んじている。
それでも21日のナイターを見ていたメッツ・ファンは、連敗に歯止めがかかるかもしれないと、かすかな期待を抱いていた。3-3に追いつかれて迎えた9回の表、クローザーのデビン・ウィリアムズは一つもアウトを取れず、2点の追加点をミネソタ・ツインズに与えた。メッツ・ファンの落胆は想像に難くない。
メッツの選手報酬総額は今年、およそ3億6000万ドル(約574億円)と、メジャーでもトップの部類に入る。その裕福なチームが精彩を欠き、屈辱の4月を迎えている。野球ファンは伝統的に迷信を信じる傾向があり、人知の届かないところに理由を求めることが多い。しかしメッツの不調には具体的な要因がある。
負けた試合ではブルペンの頼りなさが目立つが、打撃の貧弱さもやはり際立っている。15年間で7億6500万ドルという記録的契約金で昨シーズン移籍してきた強打者フアン・ソトは、負傷者リスト入りした(球団は22日に復帰発表)。12連敗中は22得点に対して67失点。平均打率はナショナル・リーグで3番目に低い。
シーズン序盤の苦境は、オフシーズンのロースター刷新に対するファンの疑念によってさらに深まっている。生え抜きの強打者ピート・アロンソがボルティモア・オリオールズへ移籍し、外野手ブランドン・ニモがテキサス・レンジャーズにトレードで出された。クローザーのエドウィン・ディアスは宿敵ロサンゼルス・ドジャースと契約、現在は負傷者リスト入りしている。
メッツ・ファンの人生は決して楽なものではない。「ミラクル・メッツ」の1969年と、ボストンの一塁手による悲劇のトンネルでサヨナラ勝ちした1986年のワールドシリーズ逆転は、野球史に残る勝利だった。一方でプレーオフでの敗退や、シーズン最終局面で謎の失速といった負の歴史も長い。今年は歴史に残るシーズン序盤の絶不調が、不名誉リストに加わろうとしている。
オーナーの資産家スティーブ・コーエン氏にとって、連敗は屈辱の泥沼と化している。ヘッジファンド運営会社ポイント72アセット・マネジメントを創業した同氏は、昨年9月、ポストシーズン進出を逃したことをファンに謝罪した。同氏は当時、成績が期待外れだった理由を突き止めるため、徹底的な検証を行うと約束していた。
コーエン氏は2020年、当時の過去最高額24億ドルでメッツを購入した。生涯メッツ・ファンの同氏は、米スポーツ界でも屈指の気前の良さで知られる。
4月は普通、野球の世界では最も希望に満ちた時期だ。平凡なチームの絶望は常態化し、それでも暑い夏を闘い続けるしかなく、やがて無気力な停滞に固定化する。通常はそれまでにもっと時間がかかる。4月はチームが問題点を修正し、さびを落とし、自分たちがどれほど優れているのか、そしてどう改善すべきかを見極める時期だ。
しかしメッツの場合、新緑が紅葉に変わり、そして枯れ葉になる10月が訪れ、答え探しのオフシーズンが始まる何カ月も前に、すでに希望は消えてしまったのかもしれない。
原題:NY Mets Losing Streak Has Fans Blaming Everyone (Correct)(抜粋)
--取材協力:Ira Boudway.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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