トランプ米大統領は21日、期限を翌日に控えたイランとの停戦について無期限で延長すると表明した。両国間の新たな協議の計画は頓挫した。

トランプ氏はSNSへの投稿で、ホルムズ海峡でイラン発着の船舶に対する封鎖を維持すると表明した。また、両国間の仲介役を務めていたパキスタンから、米国に新たな攻撃を控えるよう要請があったと説明。イランが新たな提案を提出し、「協議が何らかの形で決着する」まで停戦を延長すると述べた。

21日夜の別の投稿では、封鎖がなければ「イランとの合意は決して成立しないだろう。さもなければイランの残る地域を、指導部も含めて爆破するしかない」と述べた。

バンス米副大統領はイランとの協議再開に向けてパキスタンを訪問する予定だったが、イラン側の代表は米国の要求が不合理だとして出席を拒否した。イランの準国営タスニム通信は、現時点でイランが交渉に参加する見通しはないと伝えた。

ホワイトハウス当局者は声明で、バンス氏が21日には訪問しないことを明らかにした。

トランプ米大統領

トランプ氏の停戦延長の表明は姿勢を大きく転換するものだ。トランプ氏は21日、停戦延長の表明に先立って、イランが条件を満たさなければ「爆撃することになると思う」と米CNBCに語り、軍は「今すぐにでも行動できる状態だ」と述べていた。20日の電話インタビューでも、期限までに合意に至らない場合、敵対行為の停止を延長する可能性は「極めて低い」と語っていた。

またベッセント米財務長官は21日、X(旧ツイッター)への投稿で、財務省は「最大限の圧力を継続」し、「イランの資金創出・移動・還流能力を低下させる」と述べた。また、イランの原油輸出の主拠点である「カーグ島の貯蔵施設は満杯となり、脆弱(ぜいじゃく)なイランの油井は操業停止に追い込まれる」と主張した。

停戦延長を受け、原油相場は上昇基調を維持している。原油価格の指標となる北海ブレントは直近2営業日で約9%上昇した後、1バレル=98ドル前後で取引されている。

パキスタンのシャリフ首相は声明で、トランプ氏が停戦を延長し、「外交努力が進展する時間を確保した」ことに謝意を示した。

またシャリフ氏は「双方が停戦を維持し、イスラマバードで予定されている第2回協議で包括的な『和平合意』をまとめ、紛争の恒久的な終結に至ることを心から望む」とも、Xに投稿した。

イラン高官からは、トランプ氏の発表に対して直ちには反応はなかった。タスニム通信は、匿名の情報源による話として、イランは停戦延長を要請していないと報道。また、米海軍による封鎖が続く限り、ホルムズ海峡を再開しないとも伝えた。

1回目の停戦協議でイラン側の代表団を率いたガリバフ国会議長は20日、「われわれは脅されながらの交渉は受け入れない」と述べていた。

一方のトランプ氏は、交渉決裂の原因について、イランの指導体制が「深刻に分裂している」と非難した。

停戦延長は当面、投資家の心理を落ち着かせる可能性があるが、戦争終結に向けた合意への道筋は不透明だ。開戦から8週目に入り、数千人の死者を出し、世界的なエネルギー危機を引き起こす中で、双方に対しては打開策を見いだす圧力が高まっている。

トランプ氏はイランに対し、核兵器開発に向けた野心を捨て、核物質を引き渡すよう要求している。一方、イラン側は濃縮ウランの引き渡しに難色を示し、ホルムズ海峡の封鎖は停戦違反だと米国を非難している。

中東研究所のイラン専門家であるアレックス・バタンカ上級研究員は、トランプ氏は実際には戦闘再開を望んでいないのに、「自らを追い込んでしまった側面がある」と指摘した。

「イランに対して強硬に主張し続ければ成果が出ると考えたのは、戦略的な誤りだ」とバタンカ氏は述べ、「この体制にはそのやり方は通用しない。圧力は公然とではなく、水面下でかける方がはるかに効果的だ」との見方を示した。

原題:Trump Extends Iran Ceasefire, Keeps Blockade as Talks Falter (1)、Treasury to Continue to Apply Pressure on Iran, Bessent Says(抜粋)

(トランプ氏の新たな投稿などを追加して更新します)

--取材協力:Hadriana Lowenkron、Devika Krishna Kumar、Jeff Mason.

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