住宅設備の調達を巡る不透明感から、不動産デベロッパーのマンション建設では工期長期化への懸念が広がり始めている。中東情勢の悪化に伴うナフサ供給網の混乱を受け、住宅設備メーカーがユニットバスの新規受注を相次いで停止したことが背景にある。

ナフサの供給が滞り始めた影響で、川下の石油化学製品のサプライチェーンに支障が出ている。このため、ユニットバスなど住宅設備に使われる接着剤や有機溶剤の確保が難しくなっている。住宅設備メーカー各社は、供給責任を果たせなくなるリスクを避けるため、一部製品で新規受注を見合わせる動きを強めている。

ユニットバスはマンション建設の内装工程で欠かせない設備で、納入の遅れは工事全体に連鎖的な影響を与えやすい。設備機器の搬入や設置は後工程と密接に結びついており、最終的に引き渡し時期の遅れにつながる可能性がある。

都内のマンション群

野村不動産ホールディングスの広報担当者は、現時点で大きな影響は出ておらず、今後の見通しは精査中とした上で、「国際情勢が長期化した場合には影響が出る可能性があるため、状況を注視していく」と電子メールで回答した。

三菱地所の担当者は「今後の動向次第では建築コストや工期等に影響が及ぶ可能性がある」とした上で、必要な対策を検討していくと答えた。住友不動産の担当者も影響の有無を「注視していく」としている。

TOTOやクリナップなどの住宅設備メーカーは15日までに、ユニットバスの新規受注を停止したと発表した。

LIXILの広報担当者は、同日までの受注分について、納期は未定としていると明らかにした。他社が新規受注を停止した13日以降、通常を上回る発注があったことに加え、調達の不安定さを踏まえた措置だと説明した。

パナソニックホールディングス傘下のパナソニックハウジングソリューションズの広報担当は、他社で断られた顧客からの注文が急増したため、同社もユニットバスやトイレの製品について納期未定として対応していると話した。タカラスタンダードも13日、今後の中東情勢によっては商品の一部で納期や数量などに影響が発生する可能性があると開示していた。

供給不安の広がりに懸念

現時点では接着剤や溶剤の供給が主因だが、ユニットバスは浴槽や壁材、床材など幅広く石油化学由来の部材を使用しており、代替調達は容易ではない。供給混乱がユニットバスにとどまらず、洗面化粧台やキッチンなど他の水回り製品に広がるかどうかにも注目が集まっている。

住宅設備の不足は、新築マンションだけでなく中古物件にも影を落とし始めている。東京カンテイの高橋雅之上席主任研究員は「築古の中古マンションでは、契約を機にリフォームやリノベーションでユニットバスなど水回り設備を入れ替えるケースが多い」と指摘する。

リノベーションマンションを手掛けるスター・マイカ・ホールディングスは15日、建材や設備の納期遅延の可能性を把握しているとした上で、一部物件で工期調整が生じる可能性は否定できないとの見通しを示した。各メーカーと緊密に連携し、可能な限り安定供給の維持に努めるとしている。

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