旭化成の工藤幸四郎社長は15日、イラン情勢で供給懸念が高まっているナフサについて6月中旬から下旬までの使用分の確保にめどが立ち、今後も調達を継続できるとの認識を示した。ただ、価格の高騰を踏まえて今後は価格面も検討した上で購入すると述べた。

同日開かれた経営戦略の進捗(しんちょく)状況に関する説明会で明らかにした。化学業界はナフサの代替調達を進めており、「苦労しているが、多角化によって調達自体はでき続けるのではないか」と述べた。米国や中南米などから買い付けており、一部では政府からの情報をもとに購入したものもあるという。

旭化成の工藤社長

ナフサは自動車から食品の包装材までさまざまな資材の原料で、日本は4割を中東からの輸入に依存している。供給不安から市場価格は「倍近い高騰になっている」といい、これまでは数量の確保を最優先していたが、7月以降の輸入分ではより安く買う視点も取り入れていきたいとした。

既に国内での影響も表面化している。塗料用シンナーの供給網に目詰まりが指摘されているほか、TOTOがユニットバスとシステムバスの新規受注を停止するなど供給体制に混乱が生じている。

工藤氏は旭化成傘下のヘーベルハウスなど住宅事業には現時点で影響がないと述べた。また、同社製品の「サランラップ」は値上げが避けられないとする13日の報道については、決定した事実はないとした。

ただ、エチレンやプロピレンなどの石油化学品は最終商品となって流通する川下へと至るまでに幅広い商品へと波及する。このため今後は「価格転嫁をお願いしていかざるを得ない部分が相当数ある。かなり多くのものが出てくる」とし、値上がりの中でも計画した販売量を確保できるかどうかが重要になると述べた。

この日の発表では、中期経営計画で2028年3月期に営業利益を2700億円とする目標は据え置いたが、電気自動車(EV)関連など不確定要因として150億円をあらかじめ差し引いた。中東情勢はこの数字には入っておらず、計画は現時点ではおおむね順調とした。同社は中東問題のリスクも考慮した上で5月に今期(27年3月期)の業績見通しを公表する予定だ。

(社長コメントや背景情報などを追加して更新しました)

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