(ブルームバーグ):米国とイランは週末、パキスタンで長時間の協議を行ったが、戦争終結に向けた合意には至らなかった。数千人の死者を出し、世界的なエネルギー供給を混乱させている6週間の戦争について、持続的な解決策を見いだせるか疑念が強まっている。
イスラマバード入りしていたバンス米副大統領は12日朝、イランが核兵器を追求しないとの確約を示さなかったため、交渉団は合意を得ずに帰国すると記者団に語った。
21時間に及ぶ協議を終えたバンス氏は「われわれはレッドラインや譲歩可能な点、不可能な点を極めて明確にしてきた。可能な限りはっきりと伝えたが、彼らはわれわれの条件を受け入れない選択をした」と述べた。
イランのメディアは米国の要求が「過度」だと報じたが、イラン外務省の報道官は1回の交渉で相違が解消されないのは普通だとし、追加協議の余地を残す姿勢を示唆した。
協議決裂が停戦にどのような影響を及ぼすかは現時点で不明だ。トランプ氏は協議終了後、まだコメントしていないが、自身のソーシャルメディアに海上封鎖に関する記事を投稿した。
ホルムズ海峡は依然として主要な争点の一つだ。2月末に米国とイスラエルが戦争を仕掛けて以来、イランは世界の石油および液化天然ガス(LNG)供給の2割が通過していたホルムズ海峡の往来を事実上停止させ、いまやその支配を主張している。

シンガポール国立大学中東研究所の上級フェロー、ジャンループ・サマーン氏は「双方が過大な要求を突きつけていたことを踏まえれば、交渉は失敗に終わる運命にあった」と述べ、ホルムズ海峡やイランの核開発計画を巡る相違を指摘。「これらの問題について、イランは今のところ主張を変える気配を見せていない。全体として、速やかかつ確実に戦闘再開となるだろう」と予想した。
バンス氏はイスラマバード出発に際し、「合意の不成立は米国にとってよりも、イランにとってはるかに悪い知らせだ」と主張。
「われわれは極めてシンプルな提案を置いていく。これが米国の最終的かつ最善の提案だ。イランがこれを受け入れるかどうか、様子を見ることになる」と、バンス氏は続けた。
イラン外務省のバガエイ報道官は、双方が様々な問題について理解に達したものの、「2、3の重要な点」でなお見解の相違が残っていると述べた。
「当然、最初から1回の会合で合意に達すると期待すべきでなかった」と同報道官は会談後に国営テレビで語り、「外交に終わりはなく」、イランは「いかなる状況下でも国益を追求し続ける」と付け加えた。
原油・ガス市場
米国とイランが長時間協議の末に合意に達しなかったことで、週明けの原油・ガス市場にその影響が及ぶ可能性が高い。12日は積み荷のない空の超大型原油タンカー(VLCC)2隻がホルムズ海峡を通過してペルシャ湾に入ろうとしたが、米国とイランの和平交渉が決裂した直後に土壇場で引き返した。
シドニーのATグローバル・マーケッツのチーフ市場アナリスト、ニック・トゥイデール氏は「先週は慎重ながら期待が高まりつつあったが、停戦発表前の水準まで逆戻りする可能性がある。原油はドルと共に上昇して始まるだろう」との見方を示した。
今回の協議を仲介したパキスタンは、「建設的」な話し合いだったとし、双方に停戦維持を呼びかけた上で、今後数日間も仲介を続けると表明した。
イスラエルの安全保障内閣のメンバー、ゼエブ・エルキン議員は12日、停戦期間はまだ終了していないとし、「さらなる協議を生み出す試みが行われる可能性がある」と述べた。
イスラエル軍は週末もレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラに対する激しい攻撃を継続。イスラエル軍が11日発表したところによると、ヒズボラのインフラに対して200回以上の攻撃を実施したほか、レバノン南部に展開する地上軍の支援を行った。

真剣さの表れ
バンス氏はウィトコフ特使やトランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー氏らと共に、ガリバフ国会議長が率いる総勢70人余りのイラン代表団と交渉していた。
バンス氏は「核兵器を追求せず、迅速な開発を可能にする手段も求めないという明確な確約が必要だ。それが米大統領の中核目標であり、われわれは交渉を通じてその達成を目指してきた」と説明した。
米シンクタンク、大西洋評議会で南アジアを専門とする上級フェロー、マイケル・クーゲルマン氏は、交渉への政権幹部の参加は和平合意を見いだそうとする米国の真剣さの表れだと指摘、解決に向け措置が講じられる可能性が高いとの見解を示した。
「米国は国内政治的な理由から、戦争から撤退できるような合意を望んでいる」とクーゲルマン氏はXに投稿。「バンス氏はあのように発言したが、これで終わりではないだろう。さらなる交渉はあり得る」としつつ、それがパキスタンなのか他の場所になるのかは不明だと記した。
直接協議はイスラマバード時間11日午後5時30分に始まった。1時間後には技術専門家チームが加わり、ホルムズ海峡や停戦延長の可能性、段階的な制裁緩和を巡って議論が行われたと、事情に詳しい米国とパキスタンの当局者は述べた。
イスラマバード到着時に「われわれには善意はあるが、信頼はしていない」と述べ、慎重姿勢を示していたガリバフ氏は12日、米代表団は「今回の協議でイラン代表団の信頼を得ることができなかった」とXに投稿。イランは協議で「先を見据えたイニシアチブ」を提示したとも説明した。詳細には触れていない。
イランはまた、協議の前提条件としてレバノンでの停戦を挙げていたが、イスラマバードでの協議に参加していないイスラエルは、レバノン南部への攻撃を続けた。
原題:US, Iran Fail to Reach Peace Agreement After Marathon Talks (4)、Ghalibaf: US Failed to Gain Iran Trust in This Round of Talks (抜粋)
(会談出席者の発言や専門家の見方などを加えます)
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