イランでの戦争を受けて相場が乱高下する中、米政府は、機密情報を用いて金融市場や予測市場で取引することを控えるよう、職員全体に宛てた内部メールで警告した。

この警告は、トランプ大統領のイランやベネズエラに関する軍事行動の意思決定を巡って、タイミングの良い高収益の賭けが相次ぎ、インサイダー取引への疑念が生じていることを受けたものだ。

内部メールは3月24日にホワイトハウス管理局から送信された。事情に詳しいホワイトハウス当局者が匿名を条件に明らかにした。

この前日にトランプ氏は、それまでに警告していたイランの発電施設への攻撃計画を5日間延期すると、SNSに投稿していた。投稿のわずか15分前には、数十億ドル規模の原油や株式の先物が取引され、投稿を受けて原油価格は下落し、株価は急騰した。

ブルームバーグがまとめた取引所データによると、米ニューヨーク時間23日午前6時49分からの2分間に、少なくとも600万バレル相当の北海ブレントおよびウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油に連動する契約が売却された。これに対し、同時間帯の過去5営業日の平均は70万バレル相当にとどまる。トランプ氏のSNS投稿は午前7時5分頃だった。

この職員向けメールの存在は、米紙ウォールストリート・ジャーナルが最初に報じた。

ホワイトハウスのイングル報道官は声明で「トランプ大統領の姿勢は極めて明確だ。誰にとっても力強く利益をもたらす株式市場を目指す一方で、議員やその他の政府高官が非公開情報を用いて金銭的利益を得ることは禁じられるべきだ」と述べた。「トランプ大統領の判断の拠り所となる唯一の特別な利益は、常に米国民の最善の利益だ」とも語った。

オンライン予測市場でも不自然な兆候

米国とイスラエルによる対イラン戦争を背景に、株式や原油相場は変動している。トランプ氏の投稿前後に見られた先物取引の不自然な動きや、オンライン予測市場での賭けの急増は、参加者がインサイダー情報を基に取引しているのではないかとの疑念を招いている。

予測プラットフォーム「ポリマーケット」では、新たに作られた匿名アカウントが、イラン関連でタイミングの良い賭けに次々と勝ち、利益は数十万ドルに膨らんでいる。

これはインサイダー取引の兆候だとして専門家が調査を開始。中東関連の一部の賭けでは、停戦の定義を巡る議論から支払いが凍結され、トレーダーが資金を受け取れない事態にもなっている。

今年初めには、米国がベネズエラの指導者マドゥロ大統領を拘束する直前に、大きな利益が出る賭けが行われていたことも、インサイダー疑惑を巻き起こしていた。

連邦職員は政府施設内での賭博が禁止されており、倫理規則では非公開の政府情報を私的な利益のために利用することも禁じられている。ホワイトハウスの職員がインサイダー取引で利益を得た証拠はないものの、今回のメールは、急速に拡大する予測市場に対する関心の高まりと、インサイダー取引を防ぐ十分な規制がないのではないかという懸念を浮き彫りにしている。

イングル報道官は「すべての連邦職員は、非公開情報を用いて金銭的利益を得ることを禁じる政府の倫理指針の対象となっている。しかし、証拠もなく行政当局者がそのような行為に関与していると示唆することは、根拠がなく無責任だ」と述べた。

原題:White House Warns Staff on Insider Trading Amid Iran War Bets(抜粋)

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--取材協力:Nathaniel Popper.

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