中国共産党の習近平総書記(国家主席)は10日、台湾の最大野党、国民党の党首と約10年ぶりに会談した。台湾が中国の一部だとの主張を改めて示す一方で、平和と協力を呼びかけた。

会談のオンライン中継によると、習氏は国民党の鄭麗文主席に対し、「台湾海峡の両岸の同胞は共に中華民族に属する」と述べ、「国際情勢がどのように変化しようとも、両岸の同胞が歩み寄る流れは変わらない」と伝えた。

北京を訪れた鄭氏は、双方が戦争回避に向けた解決策を模索すべきだと指摘し、将来について「台湾海峡が潜在的な紛争の火種であり続けることはなく、外部勢力の介入のためのチェス盤になることも決してない」と語った。これは、中台関係に米国が干渉しているとする中国の批判と呼応する表現だ。

鄭氏による今回の訪中は、習氏および共産党の招きによるもの。この日の会談は米台両政府が注視していた。対中関係強化を図る国民党の動きに警戒感が強まっている。国民党は台湾の頼清徳政権による防衛費増額の取り組みを阻止している。

中国は今回の会談を利用し、台湾の人々が中台の関係改善を支持していると主張する可能性が高い。5月半ばに予定されている習氏とトランプ米大統領との北京での首脳会談を前に、米国への重要なシグナルを発する狙いがあるとみられる。

習氏はこれまでにも複数の国民党指導者と会っており、2015年には当時の台湾総統、馬英九氏とシンガポールで歴史的な会談を行った。ただ、国民党トップとの会談はこれまで2016年が最後だった。習、馬両氏の会談では双方が中台関係の緊密化に期待を示した。

その数カ月後、中国寄りとされる国民党は総統選で敗北し、その後も3回連続で民主進歩党(民進党)に敗れている。民進党は中国の主張に対抗し、台湾の民主主義を守る方針を掲げている。

中国入りした鄭氏は南京や上海で共産党関係者と先に会談しており、習氏との協議はその一環。

鄭氏は今回の訪中について、対話による抑止という戦略の一環と位置付け、台湾と中国の衝突は必然ではないとの認識を示している。また、2028年の総統選を制し、政権復帰した場合には、観光や政治対話を含む幅広い中台交流の再開を目指す考えも表明している。

習氏にとって鄭氏との会談は、米国との交渉上の材料となり得る。中国政府は台湾内にも対中関係の強化を支持する勢力があることを示す狙いがあるもようだ。

一方で、台湾内では警戒感が広がる。頼氏の民進党は正式な権限なしにいかなる政治団体も中国政府と交渉すべきではないと強調している。中国共産党は台湾を統治したことはないが、「祖国統一」を目指すとしている。

民進党は中台関係の改善に向けて中国との対話に応じる用意があると繰り返し表明してきたが、中国側が提示する前提条件の受け入れは拒否している。

頼氏は台北で米上院議員団と8日に面会した際、台湾は「交流に前向きだが、その交流は民主主義や自由、国益を犠牲にして行われるべきではない」と述べた。台湾総統府が明らかにした。

台湾財政部(財政省)は10日の声明で、中国本土から輸入される一部のポリアミドフィルムに対する反ダンピング調査を開始したと発表した。この措置は、台湾の産業にとって公正かつ合理的な貿易環境を維持することを目的としている。

原題:Xi Tells KMT Head China Wants Peace, Unification With Taiwan (1)、Taiwan Launches Anti-Dumping Probe Into China’s Polyamide Films、Xi to Meet Taiwan’s Opposition Head for First Time in Decade (1)(抜粋)

(台湾総統の発言などを追加して更新します)

--取材協力:Alfred Liu.

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