(ブルームバーグ):今週、サンフランシスコで年次カンファレンスの「ヒューマンX」が開かれ、懐疑派から熱狂的な支持者まで数千人のAI起業家、研究者、投資家が集まった。
会場では、人工知能(AI)による効率化を背景に「エンタープライズ分野への転換」や人員削減をめぐる議論が交わされ、スタートアップ各社も来場者の呼び込みにしのぎを削っていた。そうした中、ひときわ注目を集めていたのがアンソロピックだ。
同社は6日、年換算の売上高が300億ドル(約4兆7600億円)に達し、年末目標を前倒しで超えたと発表。需要拡大を受け、グーグルやブロードコムとコンピューティング能力の確保で契約を結んだ。翌日には新たなAIモデルも公表したが、性能が強力すぎるとして一般公開は見送るとした。
ヒューマンXでは、筆者が交わしたほぼすべての会話でアンソロピックの名が挙がった。今年に入り、資金を集める同社の存在感は大きく、スタートアップの注目を集めているのも不思議ではない。市場における同社の卓越した地位を背景に、多くのスタートアップ創業者がアンソロピックを引き合いに自社を売り込み、投資家もそれらの企業を同社と比較しながら評価している。
アンソロピックの投資家でもあるノータブル・キャピタルのマネジングパートナー、ハンス・トゥング氏は、多くのスタートアップ創業者が投資家への売り込みの中で、自発的にアンソロピックに言及していると語った。特に、自らが手がける事業とアンソロピックが競合しない理由を説明する際に、その傾向が顕著だという。
トゥング氏は「創業者は投資家がそう考えていると分かっているので、その点について先に言及している」と指摘、「それは現実的な対応だ」と述べた。
プレミスの共同創業者ヴァネッサ・ラルコ氏は、アンソロピックやOpenAIが参入する可能性が低いとみられる分野、例えばフィジカルAIなどへの投資は、ベンチャーキャピタルにとってより魅力的に映ると述べた。
また、サファイア・ベンチャーズの共同創業者兼社長ジャイ・ダス氏は、スタートアップがアンソロピックと直接競合している場合や、同社が将来的に進出すると見込まれる分野などで事業を展開している場合、新規投資のハードルは高くなると指摘した。
それでもAIスタートアップの成長は著しく、アンソロピックとの競合下でも資金調達は続いているという。
AMPのアンジニー・ミダ氏は「アンソロピックはリーダーだが一つのプロバイダーに過ぎない」とし、大企業は特定ベンダーに依存できないと述べた。
一方で、一部の投資家は、新たなAIの大きな進展を求めて研究を行う小規模な研究所「ネオラボ」が、より厳しい目が向けられる可能性を懸念している。
製品や収益がないまま巨額資金を調達する例もあるが、GVのサンギーン・ゼブ氏は、投資家が実行力を求め始めていると指摘する。「50億ドルが必要になれば、『製品はどこにあるのか』と問われることになる」と語った。
原題:Anthropic Dominates the Discussion at HumanX: Tech In Depth
(抜粋)
--取材協力:Natasha Mascarenhas.
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.