三井住友フィナンシャルグループ(FG)は「稼ぎ方」の改革を進める。大企業向けの海外事業で資金決済ビジネスを強化するのが柱の一つで、今後3年で外貨預金600億ドル(約9兆6000億円)の積み増しを目指す。欧米の主要銀行と伍(ご)していける収益力の確保を図る。

中島達社長はブルームバーグとのインタビューで、金利や為替などの経済環境の後押しが続けば、2029年3月期にのれんなどの無形資産を除いた実質的な資本に対する収益性を示す有形株主資本利益率(ROTE)13%程度、連結純利益2兆円の達成を視野に収益力を強化する方針を示した。

その中軸として、企業の国際送金を含めた決済や資金管理を担う「トランザクションバンキング」の強化を挙げた。国際展開する銀行が主戦場とする資金決済業務の強化により、海外市場での存在感を高めるとともに、稼ぐ力の質を高める。三井住友銀行の25年12月末時点での外貨顧客性預金は3080億ドル。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

三井住友FGは近く、26年度から3カ年の新たな中期経営計画を発表する予定だ。中島氏は将来的に欧米主要行並みのROTE15%を目指すとした上で、「これまでは『お安くお金を貸せます』というビジネスモデルだった。それをやっている限りはグローバルプレーヤーになれない」と強調した。大企業向けの海外事業では、融資債権を証券化し外部に販売するなどして、自らの資本を使わずに利益率を高めていく方針も示した。

決済は預金獲得の肝

銀行の決済業務は、顧客企業に国内外への送金システムや資金管理を提供するサービスだ。決済は銀行口座が起点となるため、低コストの資金である預金獲得を期待できる。海外金利が一定水準にあり、国内金利も上昇局面にある今、預金獲得は収益拡大を目指す銀行にとって重要な要素となっている。

中島氏は具体的な強化策として「SMBC Connect(コネクト)」というブランドを立ち上げることも明らかにした。「決済分野はマーケットが非常に大きい。少しでも獲得できると、十分収益が上がるビジネスになる」と期待する。市場開拓には便利で安全な仕組みの提供だけでなく、営業担当者がいかに顧客との関係を築くかも重要になる。

海外での決済業務は米銀大手JPモルガン・チェースなどが大きなシェアを占める。中島氏は「まずは日系企業の決済を捕捉したい」と語った。営業員の確保などにも取り組む方針を示した。国内でも決済業務を強化し、円預金も新たに4兆円積み増したい考えで、外貨と合わせ13兆6000億円分の預金獲得を目指す。

プライベートクレジット

海外では投資家から集めた資金でファンドを組成し、企業などに融資するプライベートクレジット市場が急速に拡大しているが、一部で貸し倒れリスクが顕在化するなど不安視する見方も出ている。中島氏は、この流れがどこまで深刻化するかは「分からない」とした上で、「状況を注視している。われわれとしても基本的には優良なファンドと付き合っている」と述べた。

日本の融資市場は伝統的に、顧客企業と深い関係を築いた銀行などによる直接的な融資が主で、プライベートクレジットの存在感は大きくない。ただ、特に企業買収向け資金の融資で案件が巨額化しているとして、この分野にプライベートクレジットが資金を提供することは「われわれのビジネス上でも決して悪いことではない」と語った。「今後、国内で伸びる可能性は大いにある」との見方を示した。

インドで「外銀ナンバーワン」目指す

アジア事業に関しては、インドで「外銀ナンバーワン」の地位を確立すると強調した。24年に個人や中小企業向けのノンバンクを完全子会社化したほか、25年には同国で有数の資産規模を誇るイエス銀行に約2900億円を出資して持ち分法適用会社にするなど、過去数年で約7000億円を投じた。今後、自社の支店網や出資先を有機的につなげてビジネスを進めると説明した。

米国では、現地証券のジェフリーズ・ファイナンシャル・グループへの出資比率を引き上げると25年に発表した。経済持ち分は最大20%になるが、議決権ベースでは5%を超えないとしている。中島氏はさらなる出資比率の引き上げなどについて、コメントを控えた。

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