30日の日本市場では株式が急落。中東紛争激化を背景に原油価格が再び高騰し、景気や企業業績への懸念が強まった。円相場は三村淳財務官のけん制発言を受けて、対ドルで約1年8カ月ぶり安値水準の160円台前半から159円台後半に反発。債券は中長期債が上昇する一方、超長期債が前週末に続き大幅安(利回りは上昇)となった。

日経平均株価は朝方に前営業日比5.3%下げて年初来安値を付け、2026年の上昇分をほぼ帳消しにする場面があった。東証株価指数(TOPIX)も同4.8%下落した。原油相場はアジア時間の取引で上昇。イエメンの親イラン武装組織フーシ派の参戦などで事態がさらにエスカレートし、エネルギー市場の混乱が一段と深まるとの懸念が強まった。

マルチアセット取引プラットフォーム、トラドゥでシニアストラテジストを務めるニコス・ツァボウラス氏は、日本が原油輸入の多くを中東に依存しているため、日本株は「特有の脆弱(ぜいじゃく)性」を抱えていると指摘。外国人投資家の慎重姿勢が強まりやすいと話した。

中東情勢の混迷が長期化し、原油価格が高止まりすればエネルギー輸入国の日本の経済や企業業績はコスト上昇を通じてダメージを受ける。市場参加者の間では企業の1株利益が今後低下するリスクが意識され、日本株の先高観も後退している。ゴールドマン・サックス証券はTOPIXの12カ月目標値を従来の4300から4200に引き下げた。

大和証券投資情報部の坪井裕豪チーフストラテジストは、トランプ米大統領がイランとの交渉は順調との見方を示し、日経平均が下げを縮小する場面もあったが、イランの姿勢も明確にならなければ、市場の安心感は高まりにくいと述べた。

株式

株式はTOPIX構成銘柄の9割超が下げるほぼ全面安の展開で、電機や銀行、自動車や機械などへの売りが相場を押し下げた。

東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、イラン戦争は長引きそうで原油も高いほか、原材料の調達など日本企業へのさまざまな影響も懸念されると指摘。米国株も安値を更新しており、今後の中東情勢次第で日経平均は今週の取引時間中に4万8500円程度まで下げる可能性があると話した。

一方、主要株価指数は午後にかけて下げ幅を縮めた。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは「原油価格が1バレル=120ドルなど一段と高値を更新することがなければ、日経平均は5万円台前半でのもみ合いが続くのではないか」と言い、足元では株価水準を踏まえた打診買いが入っていそうだと話した。

藤原氏はトランプ大統領が米国が停戦に向けて提示した要求について、イランが大半に応じる姿勢を示したとの認識を示唆したことも、相場を多少支えていると述べた。

きょうは3、9月期決算企業の配当権利落ち日で、ブルームバーグのデータによるとTOPIXで約35ポイント、日経平均株価では約357円の押し下げ要因だった。

為替

円相場は対ドルで朝方に一時160円46銭と2024年7月以来の安値を更新。その後、三村財務官の発言を受けて介入リスクが意識され、159円台後半まで反発した。

三村財務官は、160円台まで円安が進んだことに関し「この状況が続けばそろそろ断固たる措置が必要になる」とした上で、われわれの照準は全方位だと述べた。省内で記者団に語った。

みずほ銀行国際為替部為替スポットチームの南英明ディレクターは、財務官の「断固たる」というフレーズに加え、トランプ大統領がイランとの合意が近い可能性に言及したことが「ダブルパンチ」となり、ドル売りにつながった側面があると指摘した。

セントラル短資FX市場業務部の富永貴之部長は当局の発言について、タイミングは早かったが「イラン情勢は混沌(こんとん)としており、時間稼ぎにしかならない」印象だと言う。けん制発言でドル・円の上値は重くなるものの、円高方向への巻き戻しが起きるかどうかについては懐疑的な見方を示した。

債券

債券相場は中長期ゾーンがしっかり。中東情勢を背景に景気減速懸念が強まる中、米国債利回りがアジア時間の取引で低下し、前週末に売りが進んだ反動から買いが入った。

三菱UFJアセットマネジメントの小口正之エグゼクティブ・ファンドマネジャーは、中長期債は米国債が買われている動きに連動している可能性があり、株安もあって「ショートカバーが入りやすくなっている」と指摘。今後については、日本銀行の利上げを織り込む動きと景気減速で利上げが難しいとの見方が交錯し、読みにくい展開が続くとみている。

一方、超長期債は売りが続いた。原油高によるインフレ懸念などから金利上昇圧力がかかり、新発40年債利回りは午後3時過ぎに前営業日比11bp高い4.03%を付けた。

野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジストは「スタグフレーション懸念がある」とし、中東情勢や原油価格の先行きが不透明な中で、超長期金利にはなお上昇余地があると述べた。その上で、年度末を控えて頼みの綱だった株も下落し、「分散が効かない」と指摘した。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:横山桃花、アリス・フレンチ.

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