(ブルームバーグ):暗号資産が、今度は住宅ローン市場を通じて、米国の金融システムにさらに深く入り込みつつある。
住宅ローン会社のベター・ホーム・アンド・ファイナンス・ホールディングとコインベース・グローバルは、デジタル資産をファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)保証の住宅ローンの頭金に結び付ける新たな商品を開始する。この仕組みでは、借り手はビットコインのほか、サークル・インターネット・グループのステーブルコイン「USDC」を担保として差し入れ、これらの資産を現金化する代わりに、頭金の資金に充てる別のローンを利用できるようになる。
この商品は、デジタル資産が金融の主流へと一段と浸透する流れの中で登場した。2024年に実現した現物型の暗号資産上場投資信託(ETF)の大規模な導入は、投資家の資産形成を後押ししてきた。長年にわたり、多くの暗号資産保有者は、住宅のような大きな買い物であっても売却に慎重だった。売却すれば将来の上昇余地を手放すことになるうえ、キャピタルゲイン課税も発生するためだ。
暗号資産を担保とする住宅ローン自体は目新しいものではないが、ファニーメイの関与は重要な意味を持つ。連邦住宅金融局(FHFA)の監督下にある政府支援機関で、米住宅市場において中核的な役割を担っているためだ。同機関の動きは、より広範な政策転換とも一致する。パルトFHFA局長は昨年6月、規制を受ける取引所に保管された暗号資産を住宅ローンのリスク評価に組み込むことへの支持を表明した。リスク評価は、借り手が債務を履行できるだけの資金力を備えているかを貸し手が判断するプロセス。
ベター・ホームの最高経営責任者(CEO)兼創業者、ビシャル・ガーグ氏はインタビューで、「暗号資産は、これまで主に富裕層に限られていた金融手段へのアクセスを、一般の米国人にも広げる」と述べた。
コインベースの株価はニューヨーク時間午前10時9分現在、約2%下落し177.19ドル。一方、ベター・ホームは約8%上昇し33.88ドルとなっている。
主たる住宅ローンは、従来型の適合ローンであり、ファニーメイの指針に基づいてベター・ホームズが組成・管理する。適合ローンであることは通常、政府支援の住宅ローン市場を背景に、借り手がより低い金利と標準化された条件にアクセスできることを意味する。ファニーメイの広報担当者は、コメント要請に対し現時点で回答していない。
契約時には、借り手は2本のローンを組む。住宅に対する主たる住宅ローンと暗号資産を担保とし、頭金の資金を賄うための第2のローンだ。両ローンは同一の金利と償還期間が設定されるため、月々の支払いは一本化される。
両社によると、暗号資産の価格変動はローン条件に影響しない。担保として差し入れられた資産が清算のリスクにさらされるのは、借り手が支払いを延滞した場合に限られる。借り手は現金で頭金を支払う代わりに、主たる住宅ローンと頭金用ローンの双方に対して利息を支払うことになる。
コインベースの消費者・プラットフォーム事業開発責任者、マーク・トロイアノフスキー氏は、「住宅ローンの審査に通るために株式を売却することはない。株式を担保に借り入れるからだ」と指摘。同様にこの仕組みは「現実の用途のために暗号資産から実用的な価値を引き出すことを意味する」と語った。
原題:Crypto Enters the Mortgage Market Via FNMA-Eligible Loans (1)(抜粋)
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