原油先物相場は23日の取引で急落。トランプ米大統領が、イランとの戦争終結に向けた協議を行ったと述べたことに反応した。ただ、イラン側はこうした協議を否定している。

北海ブレント原油先物は一時、14%安の1バレル=96ドルまで下落。日中の値動きとしては過去最大級の変動となる。その後、イランが協議を否定したことで下げ幅を縮小したが、イランとの合意は数日以内に成立する可能性があるとのトランプ氏の発言が伝わると、再び売り優勢となった。

ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物や欧州の天然ガス価格も、ブレント原油と同様の動きとなった。

CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニアエネルギートレーダー、レベッカ・バビン氏は、「流動的な状況が続いており、協議も数日間にわたる見通しで、ボラティリティーは収まらないだろう。ただ、交渉のトーン次第では上昇余地が抑えられ始める可能性がある」と語った。

2月末にイラン戦争が始まって以降、ホルムズ海峡が事実上の封鎖状態になっていることなどでエネルギー市場は混乱に陥っている。国際エネルギー機関(IEA)は先に、今回の危機を石油市場で史上最大の供給混乱と表現した。

米当局者からは最近、エネルギー市場の沈静化を図る発言が相次いでおり、この日のトランプ氏の投稿や発言もその流れに沿ったものとみられる。

トランプ氏はトゥルース・ソーシャルに、米国とイランは中東での敵対行為の「全面的な解決に向け、良好で生産的な協議を行った」と投稿。その後、FOXビジネスのインタビューで、イラン側との協議にはウィトコフ特使と娘婿ジャレッド・クシュナー氏が関与しており、5日以内に合意に至る可能性があると述べた。

この主張に、イランのメディアはすぐさま反論。準国営のファルス通信は、トランプ氏と「直接的にも間接的にも、やり取りはない」と報じた。政府当局者はまだコメントしていない。

「市場の力に屈したサイン」

原油相場でボラティリティーが極端に高まっていることで、市場参加者の間には疲弊の色が広がっている。ブレント先物で観測された過去最大級の変動のうち、6回中4回が2月末の戦争開始以降に集中している。

「市場は完全な混乱状態にある」と、PVMオイル・アソシエーツのアナリストは指摘。トランプ氏の最新のSNS投稿については、「市場の力に屈したことを示す明確なサインだ」との見方を示した。

SEBのチーフ商品アナリスト、ビャーネ・シールドロップ氏は「トランプ氏は明らかに価格の沈静化を図ろうとしている」と指摘。そのうえで「ホルムズ海峡の再開はイランにかかっており、トランプ氏の政策次第ではない」と述べた。

ウォール街の銀行はここ数週間、戦争による供給混乱を背景に原油価格の見通しを相次いで引き上げている。ゴールドマン・サックスは23日のトランプ氏の投稿前の時点で、今年の原油価格予想を平均85ドルとし、従来の77ドルから上方修正した。

緊張緩和が進めば、中東で原油生産の一部が回復する可能性がある。ただ、実際の供給は、船主がいつホルムズ海峡を通航する意思を示すかに大きく左右されるとみられる。

ラボバンクのエネルギーストラテジスト、フローレンス・シュミット氏は「これでホルムズ海峡が再開されるわけではなく、エネルギー市場は依然として供給制約に直面する。時間を稼ぐ一方で、供給再開はさらに先送りされる」と語った。

原題:Oil Dives as Trump Says Talks to End Mideast War Are Underway、Oil Plunges as Trump Says Discussed Halting Iran War(抜粋)

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