(ブルームバーグ):トランプ米大統領に「ノー」と言う方法を、欧州はついに学び始めた。
イランを巡る戦争は開始から3週間近くが経ち、収束どころか戦線が拡大している。欧州の指導者らは曖昧な言い回しをやめ、イスラエルと米国の軍事作戦を支援する意思はないと、トランプ氏にはっきりと伝え始めた。
ドイツのメルツ首相は16日夜、「われわれはこの戦争に参加しない」と明言。「しない」と繰り返し述べて強調した。
ギリシャのミツォタキス首相も17日、アテネで開かれたブルームバーグ主催のイベントで「端的に言えば、ノーだ」と語った。
「ノルウェーも同様だ」と同国のストーレ首相もオスロで歩調を合わせた。
戦争開始当時と比べ、これら首脳の反応は注目すべき変化だ。欧州首脳らは当初、国際法についての質問をかわし、イランの体制を非難した。メルツ氏ですら、トランプ氏と「同じ立場にある」と述べていた。それが今では、トランプ氏自身に批判が向けられている。
ドイツのワーデフール外相は17日、「軍事目標がいつ達成されたと見なされるのか、米国から説明が必要だ」と語った。
強硬さを増すこうした発言は、欧州にとっては大きな賭けだ。欧州市民の多くはトランプ氏を嫌い、戦争にも反対している。このため発言は国内では支持を得られるが、トランプ氏は長年、欧州の安全を守る米国の保証に不満を唱え、自身の要求が受け入れられなければ、北大西洋条約機構(NATO)に「非常に悪い」結果が生じると脅してきた。
トランプ氏は17日、ホワイトハウスでアイルランドのマーティン首相と会談した際、「これは私個人ではなく、米国にとって非常に不公平だ」と述べた。
フィンランドのストゥブ大統領は16日、ブルームバーグテレビのインタビューで「米国大統領の発言はすべて真剣に受け止めなければならない」と警告した。

潮目の変化
転機となったのは、イランの攻撃を受ける恐れから封鎖状態にあるホルムズ海峡でタンカーを通航させるため、トランプ氏が欧州やアジアに軍艦の派遣を求めたことだった。
「もし対応されなければ、あるいは否定的な対応であれば、NATOの将来にとって非常に悪い結果になるだろう」とトランプ氏は15日、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで述べた。
しかし、欧州の指導者らは、これまでのようにトランプ氏の要請を丁重に検討したり、なだめたりはしなかった。多くは単に、「ノー」を突きつけた。
口火を切ったのはメルツ氏で、「ホルムズ海峡の航行の自由を軍事的手段で確保することに、ドイツは参加しない」と語った。
メルツ氏の発言は、欧州全体の姿勢を固めるうえで重要な意味を持った。ドイツは欧州最大の経済規模を持ち、同氏は大規模な軍備増強も主導しているからだ。17日午後までに、米国と緊密な軍事的協力関係を持つギリシャとポーランドも、トランプ氏の呼び掛けに応じる意思がないことを明確にした。
「われわれにはNATOの枠内で他の任務があり、同盟国もそれを理解している」と、ポーランドのトゥスク首相はワルシャワでの閣議前に述べた。
トランプ氏が名指しで期待を表明していたフランスのマクロン大統領も、17日までに拒否の意向を示した。
マクロン氏は「われわれはこの戦争の当事国ではない」と説明し、「現在の状況下で、ホルムズ海峡の封鎖を解除するための作戦にフランスが参加することは決してない」と明言した。
原題:Europe Is Finally Standing Up to Donald Trump’s Threats on Iran(抜粋)
--取材協力:Heidi Taksdal Skjeseth、Ott Ummelas、Sotiris Nikas、Viktoria Dendrinou、Piotr Bujnicki、Nayla Razzouk、Kirsi Heikel.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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