高市早苗首相は16日午前、ホルムズ海峡で民間船舶を護衛するため、自衛隊法で規定する海上警備行動に基づき、艦船を派遣することは困難との認識を示した。19日の日米首脳会談ではトランプ米大統領が要請する可能性があり、首相は対応に苦慮しそうだ。

高市早苗首相(14日、防衛大学校)

参院予算委員会で答弁した。首相は中東情勢を受けた自衛隊の活動について機雷除去、船舶防護、各国軍に対する協力、情報収集などのケースを含め、「すべて根拠法、そして今起きていること、日本でできることできないこと、こういった整理は行っている」と指摘。関係省庁で議論した上で、決めると説明した。

ただ、海上警備行動の発令に関しては「相手方として国または国に準ずる組織が想定される場合というのは派遣ができない、こういうことになっている。非常に法的には難しい」と強調。「現行法の範囲内で何ができるのか、何を今行うのがベストなのかということをしっかりと検討する」とした。

ホルムズ海峡への護衛艦派遣に関しては「まだ一切決めていない」とも述べた。米側から正式な要請はまだないという。

トランプ氏は自身のSNSで日本や中国などを名指しし、ホルムズ海峡の民間船舶を護衛するための艦船派遣を呼び掛けている。19日の日米首脳会談で直接要請する可能性があり、焦点として急浮上している。日本が船舶防護に加わらないと最終判断をした場合、トランプ氏の反応は見通せず、同盟関係に影響を与える可能性もある。

首相は首脳会談で要請があった場合への対応を問われ、「仮定のことにはお答えしにくい」と述べた。その上で、日本関係船舶の安全を確保するため、現行法の範囲内で「必要な対応を行う方法を現在検討中だ」と述べた。

日本関係船舶の護衛のため、自衛隊法に基づく海上警備行動として海上自衛隊の艦船を海外に派遣することは可能だが、警察権の発動との位置付けで武器使用などの活動に制約がある。政府はソマリア沖に護衛艦を派遣しているが、海賊への対処を目的とした特別な法律がある。紛争が続くホルムズ海峡への自衛隊派遣には与野党から慎重論が出ている。

トランプ氏の方針に対し、各国の対応はさまざまだ。韓国国防省は声明で、トランプ氏のSNS投稿に言及し「米国と緊密に意思疎通を続けながら、状況を慎重に見極めた上で決定を下す」とした。オーストラリアのキング運輸インフラ相は16日、豪放送局ABCラジオに対し「ホルムズ海峡に艦船を送る予定はないと聞いている」と述べた。

16日の日本市場では円相場が対ドルで159円台前半に小幅上昇している。原油価格の上げがいったん止まり不安定な動きになり、円がやや買い戻された。株式は下落、債券は長期や超長期債中心に値下がり(金利は上昇)した。

早期沈静化へ外交努力

日米首脳会談の議題に関し、首相はイラン問題を含めた中東情勢について日本の立場も踏まえ、議論を深めると述べた。米国とイスラエルによるイラン攻撃の国際法上の評価については各国の立場はさまざまであり、首脳会談で「議論するつもりはない」との考えを示した。

今後の対応に関しても米国を支持する、しないよりも日本の国益を守ると強調。事態の早期沈静化に外交努力を重ねる方針も示した。

首脳会談に先立ち、小泉進次郎防衛相は15日夜、ヘグセス米国防長官と電話会談した。防衛省の公表したプレスリリースでは、ヘグセス氏からホルムズ海峡を含む中東情勢の今後の見通しについて説明があったとしているが、自衛隊の派遣要請の有無は明らかにしていない。

自衛隊派遣、現行法制下では限界-玉木氏

自衛隊艦船派遣について、国民民主党の玉木雄一郎代表はX(旧ツイッター)で、海上警備行動による自衛隊艦船の派遣は自衛隊を危険にさらし無理があると指摘。日米首脳会談で仮に派遣要請があった場合、「何か前向きなことを言いたくなると思いますが、現行法制下では明らかに限界があります」と高市首相をけん制した。

自民党の小林鷹之政調会長は15日、海上警備行動について「紛争が続いている状況においてやはり慎重に判断すべき」との認識を示した。その上で「非常にハードルが高いと考えているが、今後イランを含めた中東情勢がどう変化していくのかを冷静に見極めて適切な対応をしていただきたい」と述べた。NHKの「日曜討論」で語った。

(高市首相の発言などを追加し、更新しました)

--取材協力:梅川崇.

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