世界の注目が中東の産油国を巻き込む戦争に集まる中で、欧州連合(EU)加盟国クロアチアに向かうタンカーはほとんど関心を集めていない。

だが、エネルギー分野で周縁的な存在とみられてきたクロアチアへの非ロシア産石油の輸送は、やはりEUに加盟しているものの、ロシアのプーチン大統領と友好的なハンガリーのオルバン首相には痛手だ。オルバン首相と同盟関係にあるスロバキアのフィツォ首相は、EUによるウクライナ支援に反対している。

EUは4年前、ロシアがウクライナに侵攻した後、ロシア産原油の禁輸措置を講じたが、パイプライン経由の輸入は禁輸の例外とした。今年1月27日、ロシアからの原油供給が停止。ウクライナ経由のパイプラインインフラがロシアの攻撃で損傷したためだ。

これを受け、ハンガリーとスロバキアは備蓄の取り崩しなどを余儀なくされている。両国はその後、パイプラインの修復を急がないなどとして、ウクライナを非難。しかし、ゼレンスキー大統領は強気の姿勢を崩さず、今月5日には自国民を殺害しているロシアに利益をもたらすパイプラインを修復することには前向きではないと表明した。

石油問題は、ウクライナおよびEUとオルバン氏の対立の一側面に過ぎない。ウクライナは先週、ハンガリーの首都ブダペストでウクライナ国立銀行の職員7人が拘束されたことを受け、ハンガリーが「人質を取っている」と非難した。

ハンガリーでは総選挙を4月に控えている。オルバン氏はイランとウクライナでの戦争を選挙戦で有利に働かせたいとし、自身の続投を安全な選択肢だとアピールしている。

だが、先月の世論調査で、同氏が最大20ポイント差で主要な対立候補に後れを取っていることが示された。

こうした政治的対立とは別に、ハンガリーの石油精製会社MOLは先月、7隻を超えるタンカーで運ばれる石油を発注した。リビア発の1隻はすでにアドリア海のクルク島のクロアチア側ターミナルに到着しており、残りも数日以内に到着する見通しだ。

MOLのスロバキア製油所を率いるガブリエル・サボ氏は6日、地元紙ホスポダルスケ・ノビニに対し、ハンガリーとスロバキアの製油所向けに100万トン超の非ロシア産原油を発注したと明らかにした。

ブルームバーグ・ニュースの試算によると、現在の価格では発注額は約6億5000万ドル(約1000億円)に上る。ロシア産原油の市場価格より約60%高い水準だ。

原題:Russian Oil Shutdown Troubles Putin’s Allies in Europe (1)(抜粋)

--取材協力:Jorge Valero、Michal Kubala、Sherry Su、Zoltan Simon、Alberto Nardelli、Ewa Krukowska.

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