(ブルームバーグ):米国とイスラエルによる対イラン攻撃を受けて、78億ドル(約1兆2300億円)規模に上るイランの暗号資産(仮想通貨)市場に改めて注目が集まっている。イランでは混乱に陥った局面で、資金の保全・送金手段として、市民や当局が仮想通貨を利用する傾向が強まっている。
ブロックチェーン分析会社チェイナリシスとエリプティックが今週公表した報告書によると、イランが空爆を受けた直後、同国の仮想通貨取引所からの資金流出が急増した。流出額は市場全体と比べれば小規模にとどまるものの、専門家によれば、安全確保のための個人による資金引き出しや、政府系組織による制裁回避のための支払いの動きを示唆している可能性がある。
TRMラボの政策・政府担当グローバル責任者、アリ・レッドボード氏は「イランでは、地政学的な危機時に合法的な利用者が仮想通貨を命綱として活用する一方で、当局が大規模な制裁回避のために仮想通貨インフラを不正に利用している兆候がみられる」とインタビューで述べた。

チェイナリシスでは、攻撃開始後にイランの仮想通貨取引所からピーク時の1時間で約230万ドルが流出したと分析。通常の平均的な1時間当たりの流出額を873%上回ったとしている。資金は外国のプラットフォームや国内の他の取引所、さらに相当部分が特定されていない「その他のウォレット」に送られたという。
エリプティックは、イラン最大の仮想通貨取引所ノビテックスからの資金流出が、イランへの攻撃開始直後に700%急増したと指摘した。2月28日のピーク時の1時間当たりの流出額は289万ドルで、前日の35万8000ドルから急増した。1100万人超の利用者を抱える同取引所は、イラン軍によるものとみられる金融活動との関連が指摘されていると、エリプティックは述べた。
イランの仮想通貨市場は急速に拡大しており、地政学的な緊張が高まる中で注目を集めている。市場拡大の背景には、通貨急落や2桁のインフレ高進など、経済危機が深まっていることがある。
エリプティックは1月の報告書で、イラン中央銀行が通貨危機の緩和と米国の制裁回避を目的に、1年間で5億ドル超のドル連動型デジタル資産を購入したと明らかにした。またチェイナリシスによると、昨年10-12月期(第4四半期)にはイスラム革命防衛隊(IRGC)がイランの仮想通貨取引の過半を占めた。
原題:Iran’s $7.8 Billion Crypto Market Draws Fresh Attention in War(抜粋)
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