おわりに

本稿では、2019年から2025年にかけての男女・年齢層別の平均片道通勤時間の全国的な変化について確認した。

その結果、男性ではこの期間を通じて通勤時間に大きな変化がみられなかった一方、女性では2020年以降、通勤時間が徐々に長くなってきた傾向が確認された。

これらの結果は、コロナ禍以降の働き方や居住・通勤行動の変化が、男女で異なる影響を及ぼしている可能性を示唆している。

こうした男女差が生じた背景としては、職種や雇用形態の違いにより、テレワークの導入状況や出社回帰の進展の度合いが異なっていた可能性が考えられる。その結果が、男女差として通勤時間の変化に表れた可能性がある。

また、こうした働き方の変化が、従来から男女差がみられることの多い家事・育児など家庭内役割の負担のあり方と関連しながら、居住地選択や就業継続の形態に影響を与え、それが通勤時間の変化として現れた可能性も考えられる。

もっとも、本稿の分析は平均的な通勤時間の変化を示したものであり、その背景にある職種構成、雇用形態、世帯構成、居住地移動の有無などは捉えられていない。

今後は、こうした要因を踏まえたさらなる分析を行うことで、通勤行動の変化の実態とそのメカニズムをより詳細に明らかにしていく必要がある。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 保険研究部 准主任研究員 岩﨑 敬子)

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