(ブルームバーグ):中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が5日に開幕する。中国政府が消費低迷が続く国内経済をどう立て直し、テクノロジー分野の野心的な計画をどのように推し進めるのかについて、投資家は明確な方針を求めている。
1週間にわたる全人代では、2026年の成長率目標が4.5-5%に設定される見通しだ。ここ数年の5%前後から引き下げられることになり、不動産不況とデフレが続く中で、指導部がより緩やかな成長ペースを容認する姿勢を示すものとなる。
今年は新たな5カ年計画に関連する優先課題が示されるため、全人代の重要性が一段と高まっている。昨年は人工知能(AI)を背景に急伸した中国株だが、26年は伸び悩んでいる。
政府がイノベーションをどのように支援し、本土株式相場の勢いをいかに取り戻すのか、その詳細を投資家は見極めようとしている。これまで繰り返し掲げられながら具体策に乏しい内需拡大策についても、踏み込んだ施策が示されるかが焦点となる。

「今年は政策支援の欠如で、さえない値動きにとどまっている株式市場に、新たな材料をもたらす可能性がある」とブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のストラテジスト、マービン・チェン氏は予想している。同氏によると、景気敏感株や不動産株はこれまで、全人代後の1カ月間で最も大きな上昇を記録する傾向があった。
トレーダーやアナリストが注目する主な分野は以下の通り。
テクノロジー
中国AIスタートアップDeepSeek(ディープシーク)が昨年序盤に世界に与えた衝撃やロボット関連株の急騰など、テクノロジー株は中国市場の反発を主導してきた。投資家は今、この上昇相場がなお継続するとの確証を求めている。
AIが雇用や実体経済に与える悪影響に対する懸念に基づくトレーディングが世界的にテクノロジー株を揺さぶっているが、中国国際金融(CICC)はリポートで、「テクノロジーは引き続き資本配分の重要なフォーカスとなる」と説明。確立されたAIサプライチェーンを主導する企業に加え、クラウドコンピューティングや自動運転、量子技術にも有望分野があるとみている。

消費
最近の政策会議で一貫したテーマとなっているのが、内需回復だ。安価な輸出に対する反発が各国で強まる中で、外需への依存を減らす必要性が高まっていることが背景にある。
ロンバー・オディエ・シンガポールのシニアマクロストラテジスト、ホミン・リー氏は「耐久消費財を超える幅広い分野で、消費支援が強化される可能性は十分にある」とみている。
投資家は今年に入り、ハイテク株の割高感懸念から消費関連セクターに資金を振り向けたが、消費需要と物価の持続的な回復が見られない中で、反発は短命に終わった。
CSI300一般消費財指数とCSI300生活必需品指数はいずれも、今年の中国市場で、極めて不人気なセクター別指数となっている。
反「内巻」
中国は昨年、過剰生産や値下げ合戦に象徴される過当競争、中国語で言うところの「内巻」を抑止するキャンペーンを開始した。政府は太陽光発電や電気自動車(EV)などの業界に対し、単なる数量拡大ではなく品質やイノベーション重視へと転換するよう促している。
この取り組みが一定の成果を上げつつある初期的な兆しがある。太陽光や素材のサプライチェーンの一部で価格が持ち直し、太陽光発電関連企業の株価は約2年ぶりの高値近くまで上昇している。
過剰生産能力は依然として課題だが、UBSグループはこのキャンペーンが26年に経済をデフレでも過度のインフレでもないリフレーション環境へと導く可能性があるとみている。
それでも投資家は、成長や雇用への圧力とのバランスを取りながら、当局が過剰生産の抑制を継続する決意をどの程度堅持するかを検証することになる。
不動産
長年にわたる不動産不況は中国経済の大きな足かせとなっており、市況反転にはより強力な政策介入が必要になる。
シティグループによれば、当局は質の高い住宅と市場安定化を柱とする新たな発展モデルへの支持を改めて表明する公算が大きく、さらなる規制緩和は主に地方政府に委ねられる見通しだ。
上海市は最近、住宅購入規制を緩和しており、北京市や深圳市も追随するとみられている。

ただ、モルガン・スタンレーのスティーブン・チャン氏らは強気に転じるのは時期尚早だと警告し、全人代での期待外れの政策や新たな利益見通し引き下げ、住宅販売が再び低迷するといったリスクに言及した。
国債
国債市場では、財政予算や発行による供給圧力の大きさ、とりわけ超長期ゾーンへの影響に注目が集まっている。
中国政府は内需支援と成長安定化のため、超長期の特別国債発行を拡大する見込み。モルガン・スタンレーは発行額が1兆5000億元(約34兆円)に達すると予想しており、昨年の1兆3000億元から増加する。
中国国債の利回り曲線(イールドカーブ)は、緩和的な金融政策と債務枠拡大を背景にすでにスティープ化している。30年債と10年債の利回りスプレッドは25年末時点で40ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超と、1年前の24bpから拡大し、超長期債の需給不均衡への懸念を反映している。
人民元の国際化
共産党が示した30年までの次期5カ年計画案には、「人民元の国際化を推し進める」との文言が盛り込まれた。前回計画が安定的かつ慎重に目標を進めるとしていたのに比べ、より踏み込んだ姿勢だ。
投資家は、ドルの信認低下をどう取り込み、習近平総書記(国家主席)の掲げる「強い通貨」構想を前進させるのか、そのシグナルを探る。
原題:China’s Policy Summit Puts Tech, Stimulus in Focus for Investors(抜粋)
--取材協力:Wenjin Lv.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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