(ブルームバーグ):トランプ米大統領は1日、米軍は目標が達成されるまでイランへの爆撃を継続するとし、イラン指導部に降伏するよう求めた。また米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙に対し、イランに対する攻撃が「4-5週間」続く可能性があると述べた。
トランプ氏は1日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿した動画で、イランの最高指導者ハメネイ師の死亡を確認したほか、米国とイスラエルがイラン国内で革命防衛隊の施設や防空システムを含む数百の標的を攻撃したと明らかにした。
イランの準国営ファルス通信は、赤新月社の情報を基に、両国からの攻撃で555人が死亡したと伝えた。

トランプ氏はイランの軍と警察に対し、「全面的な免責を得るために」降伏するよう求め、さもなければ「確実な死に直面する」と語った。
イランの核開発の野心について、トランプ氏は「テロリストの軍隊を育成する国家が、世界を邪悪な意志のままに脅迫できるような兵器を保有することを許すわけにはいかない」と発言。また、「戦闘作戦は現在も全力で継続しており、われわれの全ての目標が達成されるまで続く」と話した。
米軍は1日、イランによる反撃で米兵3人が死亡し、5人が重傷を負ったと発表した。トランプ氏はこれらの死を「正義の任務」の一環と表現し、死傷者について「これが終わるまでに恐らくさらに出るだろう。それが現実だ」とコメントした。
トランプ氏は「米国は彼らの死に対し報復し、文明そのものに戦争を仕掛けてきたテロリストに対し、最も苛烈な打撃を与える」と述べた。
こうした中、アトランティック誌はトランプ氏がイランの新たな指導部と協議することに同意したと述べたと伝えた。NYT紙とのインタビューでは、イランに対する攻撃が「4-5週間」続く可能性があると述べる一方、イランの将軍らに対し、国民に権力を委ねるか、マドゥロ氏拘束後に米国の要求に従っている新たな指導者の下にあるベネズエラのようなモデルを受け入れるかを迫った。
トランプ氏はNYT紙に対し「ベネズエラでわれわれが行ったことは完璧なシナリオだった」と言及。また、イランを率いるための「非常に良い選択肢が三つある」とも述べたが、詳細は明らかにしなかった。
これとは別に、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、イラン国家安全保障担当トップのアリ・ラリジャニ氏がオマーンの仲介を通じて米国との核協議再開を改めて働きかけていると報じた。これに先立ち、同氏はハメネイ師の後継者選定に向け、暫定的な評議会が1日に会合を開くと述べていた。
アジア株は1.3%下落し、米株価指数先物は0.6%安となった。報道で事態打開の可能性が示唆されたことを受け、下げ幅を縮小した。米ドルは主要通貨に対して上昇し、豪ドルや南アフリカ・ランドなどリスク感応度の高い通貨は下落した。北海ブレント原油は一時13%急上昇した後、上げ幅を縮小。金は約1%高で推移した。

戦火は1日、中東全域に拡大した。イランは米軍施設を擁する複数国の標的にミサイルを連続発射。イランからの飛翔体がテルアビブの建物に着弾したほか、サウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェートでは防空システムがミサイルを迎撃した。
世界最大級の国際ハブ空港であるドバイの主要空港も被弾し、湾岸地域では民間航空のほぼ全てが運航停止となった。
紛争の影響は世界のエネルギー市場に波及している。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は1日、4月の原油生産をやや大きく増やすことで原則合意した。原油価格はすでに年初来で約20%上昇している。イランのタスニム通信によれば、ペルシャ湾と外洋を結ぶ重要な石油・ガス輸送路であるホルムズ海峡は事実上閉鎖状態にあり、タンカーには同水路を回避する動きが強まっているという。オマーン沿岸付近では2隻の船舶が攻撃を受けたと報じられている。
イランのアラグチ外相は、同国にはホルムズ海峡を封鎖する意図はないと述べている。
イランのペゼシュキアン大統領はハメネイ師の殺害に対する「報復と復讐(ふくしゅう)」を表明し、他の当局者も軍事対応を強化すると明らかにした。イラン側は2月28日、ハメネイ師の死亡を確認。オフィス施設内で殺害されたとし、40日間の国家服喪の期間に入るとした。
ハメネイ師は公に後継者を指名しておらず、最高指導者の選出を担う「専門家会議」が新たな指導者を任命する必要がある。それまでは大統領と司法府のトップ、護憲評議会の法学者1人で構成する評議会が職務を代行する。
ハメネイ師が死亡との報道を受け、SNSにはイラン国内の様子が映された動画が相次いで投稿された。街頭で踊り歓声を上げる群衆の様子が映された動画のほか、哀悼する人々の映像もあった。
一方、パキスタン南部のカラチでは1日、親イラン派のデモ参加者が米総領事館の門を突破しようとして警察と衝突し、少なくとも9人が死亡した。
イスラエルのネタニヤフ首相は1日、イスラエル軍はイランへの攻撃を強めており、「今後数日でさらに強化する」と述べた。イランの支援を受けるイスラム教シーア派組織ヒズボラはハメネイ師殺害の報復としてイスラエルに攻撃を加えたと発表した。これに対し、イスラエル国防軍(IDF)はレバノン国内のヒズボラ拠点を攻撃しているとした。
地域での紛争が数週間にわたって続けば、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア、カタールなど湾岸の米同盟国にとって悪夢のシナリオとなる。これらの国々は、イランの核開発を巡り外交的解決で合意するよう米イラン双方に強く働きかけてきた。紛争を受けた混乱や航空便の停止が経済に打撃を与え、観光や外国投資に悪影響がおよぶことが懸念されている。
サウジは、自国を標的とした「あからさまな」攻撃だとしてイラン大使を呼び出し抗議した。

イスラエル軍当局者が匿名を条件に語ったところによると、攻撃によりイランの弾道ミサイル数百発が破壊されたほか、約200基の発射装置が破壊され、さらに数十基が使用不能になったという。
トランプ米大統領は1日、トゥルース・ソーシャルへの投稿で「米国はイラン海軍の艦船9隻を破壊し、海に沈めたとの報告を先ほど受けた」と指摘。「残る海軍も標的にしていく」と述べ、米軍は別の攻撃でイラン海軍本部の「大半」を破壊したと続けた。
米中央軍は声明で、イランの数百発のミサイルや無人機(ドローン)を迎撃したと明らかにした。
米中央軍によると、米国の標的にはイスラム革命防衛隊(IRGC)の指揮統制施設、イランの防空網、ミサイルおよび無人機の発射拠点、軍用飛行場が含まれていた。イスラエル国防軍は、IRGCのパクプール司令官や国家安全保障会議のアリ・シャムハニ書記ら、複数のイラン高官を殺害したと発表した。
イランのメディアは、軍事施設や民間施設が攻撃されたと発表。ホルモズガーン州の学校も攻撃を受け140人超が死亡したという。首都テヘランでは複数の大規模爆発が伝えられている。
トランプ氏は、イランが核兵器の放棄を拒否したため軍事作戦が必要になったと述べた。イラン側は核兵器開発を追求していないと繰り返し主張している。直近の協議は26日に行われていた。
原題:Trump Urges Iran Leadership Change as Report Points to Talks (1)、Trump Says Strikes To Continue in Iran Until Objectives Are Met(抜粋)
(情報を追加して更新します。更新前の記事は見出しをイランに訂正済みです)
--取材協力:Jennifer A Dlouhy.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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