(ブルームバーグ):ウォール街の日本国債を巡る取引が揺らぎ始めた。一部のストラテジストは、高市早苗首相の衆院選勝利後に進んだ急激な利回り曲線のフラット(平たん)化は行き過ぎだとみている。
ドイツ銀行やシティグループは、短期債利回りが長期債利回りより急速に上昇すると予想した取引から撤退した。ソシエテ・ジェネラルに続くこうした動きは、再び利回り曲線のスティープ(傾斜)化を予測する向きが増えていることを示す。
戦略転換の背景の一つには、高市政権が国会に示した新たな日本銀行政策委員会の審議委員候補に利上げに慎重なハト派とみられる2人を指名したことが挙げられる。また、高市首相が日銀の植田和男総裁と今月会談した際、追加利上げに難色を示したとの毎日新聞の報道も影響している。
日本国債相場は既に顕著な反応を見せ、早期利上げ観測が後退した25日の取引で短期債利回りが低下した半面、金融緩和の継続で日銀のインフレ対応が遅れるとの懸念から長期債利回りは上昇。短長期の利回り格差は再び拡大した。
ドイツ銀行のストラテジスト、フランシス・ヤレド氏らは顧客に対し利回り曲線のさらなるフラット化を見込む取引から撤退することを勧めた。約25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の追加利上げを実施した後の金利水準とハト派的な日銀審議委員の人事案を理由に挙げる。
シティGのダーク・ウィラーらも、日銀の政策金利の上限引き上げや利上げに前向きなタカ派的な政策への期待に基づく取引を終了。これまでのポジション(持ち高)は、円高を促すためには金融引き締めが必要との前提に立ったものだった。日本株のロングポジション(買い持ち)は維持している。
日本国債の利回り曲線は衆院選での高市首相率いる自民党の大勝後、積極財政の中でも規律ある政策運営が行われ、日銀は段階的に金融政策を正常化するとの見方からフラット化が進行。2年債と30年債の利回り差は今月に入り約200bpまで縮小し、昨年4月以来の低水準となっていた。
もっとも、足元で高市首相の財政拡張路線と金融緩和志向の強さを暗示する兆候が見え、1月に超長期債を中心に相場を急落(利回りは急騰)させた売り圧力や激しいボラティリティーが再燃するリスクは残っている。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは「海外投資家は日銀政策委員候補2人のリフレ志向を正確に測れていなかった可能性がある」と指摘。結果的に債券市場では短期金利が下がり、長期金利が上昇することで利回り曲線が急峻になる「追加的なツイストスティープニングが加速する」と予想した。
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