(ブルームバーグ):日本銀行政策委員の中で利上げに最も積極的なタカ派の高田創審議委員は26日、追加利上げの必要性を改めて強調した。高市早苗政権は前日、任期満了で退任する審議委員の後任に金融緩和と積極財政を重視するリフレ派の学者2人を指名した。
高田氏は京都市内での講演で、既に賃金と物価が上がらないというノルム(慣行)は解けており、「物価安定の目標実現がおおむね達成した局面」と説明。日本経済は真の夜明けが視野に入ったとし、金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」と語った。
その上で、先行きは海外を中心に物価上昇要因が生じた場合、「日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」と指摘。海外が景気回復に向かい、利上げに転換すれば、日銀の政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブに陥るリスクにも言及した。
政策金利の据え置きを決めた1月の金融政策決定会合で、高田氏は1.0%への引き上げを提案しており、今回の講演でもタカ派姿勢を鮮明にした。国会の同意を得られれば、リフレ派の審議委員2人が政策委員会のメンバーに加わる予定で、議論の行方が注目される。
講演の開始後、円相場は1ドル=156円ちょうど付近から一時155円70銭台まで円高方向に振れた。植田和男日銀総裁が利上げを続ける姿勢を示したとの報道に加え、高田氏の発言も円買いを促した。
日銀の金融政策運営を巡っては、高市首相が植田総裁との16日の会談で追加利上げに難色を示したと毎日新聞が24日に報道。25日には政府が日銀審議委員候補にリフレ派とされる中央大学名誉教授の浅田統一郎氏と青山学院大学教授の佐藤綾野氏を指名した。利上げ観測の後退から、一時156円80銭台まで円安が進んでいた。
高田氏は日本の実質金利が引き続き世界で最低水準にあると強調。外国為替市場で円安傾向が続く中、最近の為替市場は名目金利差だけでなく、実質金利差に着目する動きもあるとし、「為替を通じた物価動向には留意が必要だ」と語った。
午後の会見では、海外を中心に大きな環境変化が見込まれる中で、今後の利上げペースについて「決まっているものは、全くない」とし、じっくりと見極めていく意向を示した。現時点でビハインド・ザ・カーブになっているとは考えていないとしつつ、「極力、そうならないように対応していきたい」と述べた。
最近の債券市場では、高市政権の積極財政や日銀の金融政策に対する思惑などを背景に長めの年限を中心に金利が大きく変動している。25日には日銀の審議委員人事を受けて日銀がインフレに対して後手に回るリスクが意識され、新発30年国債利回りが3.38%に急上昇した。
高田氏は講演で、超長期を中心とした需給の不安もあるとし、今後も「長期金利の動きを注視し、金融機関の動向も踏まえた上で、市場とのコミュニケーションを行う必要がある」と指摘。発行当局と緊密に連携してモニタリングするとともに、例外的な状況では、「国債買い入れを含めた柔軟な対応」の検討も必要とした。
(記者会見での発言を加えて更新しました)
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