(ブルームバーグ):中東での戦争が7週間に及ぶ中、世界経済への累積的な影響が、各国の企業景況感調査の第2弾で徐々に明らかになる見通しだ。
対イラン攻撃開始から1カ月後に、成長とインフレへの二重の打撃が購買担当者指数(PMI)で確認されたが、2カ月目にそれがさらに強まったかが焦点となる。
オーストラリアや米国などの4月の速報値は23日に発表される。ブルームバーグの調査によると、ドイツ、フランス、ユーロ圏、英国の指数はいずれも広範な悪化が見込まれる一方、米国はおおむね横ばいとみられている。

最終的に、これらの数字はスタグフレーションの兆しの度合いを示す可能性がある。PMIを算出するS&Pグローバルのチーフ・ビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は、3月の世界総合指数が示したリスクを総括する中でこの言葉に言及していた。
こうした調査発表に先立つ1週間には、ワシントンで厳しい現状認識が示された。国際通貨基金(IMF)は財務当局者らに対し、世界経済がリセッション(景気後退)寸前に陥る可能性を含む複数のシナリオを提示して警告した。現在は中東で停戦合意が続いているが、成長とインフレへの打撃は容易には解消されない。
IMFのゲオルギエワ専務理事はブルームバーグテレビジョンで、「仮に明日、戦争が終わったとしても、回復が軌道に乗るまでには一定の時間がかかるだろう」とし、「影響はすでに織り込まれている」と語った。
こうした悲観的な見方が広がる中でも、複数の政策当局者は対応の仕方に慎重姿勢を崩していない。欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストを務めるレーン理事は、今月の政策決定会合に際し、PMIなどの指標をどのように扱うかを説明した。
ワシントンでレーン氏は「われわれは豊富な調査データを得ることになる」とした上で、「もちろん、調査の回答者はわれわれと同じ世界を見ている」と指摘。当面は、今後の状況について決定的な見方を持つ者は多くないと分析した。
ECB当局者は23日に発表されるフランスの企業信頼感、24日にIfo経済研究所が発表するドイツの企業景況感指数に注目する。米連邦準備制度の当局者は24日に消費者マインド指数(確報値)を確認する。
ただしゲオルギエワ氏が警告したように、政策当局による総合的な分析にも現時点では限界がある。「私たちは皆、高水準の不確実性が常態化する中で行動することを学ぶ必要がある」と同氏は述べた。
ブルームバーグ・エコノミクスのジェニファー・ウェルチ、アダム・ファラー両氏は、「現在の米国とイランの衝突を終結させ、エネルギー市場の緊張を和らげるような合意が視野に入っているとみえるものの、完全かつ持続的な和平につながる可能性は低い」とした上で、「イスラエルは交渉に加わっているようにはみえず、引き続きイランを脅威とみなしている。米国とイランの間の信頼も低い状況に変わりはなく、ホルムズ海峡など主要な論点を巡ってすでに解釈の違いがみられ、いずれも緊張の長期化を示唆している」と分析した。
このほか、カナダや英国、南アフリカなどで、戦争に起因するインフレ加速の可能性や、トルコやインドネシアの金融政策決定も注目材料となる見通しだ。
米国の注目点
米国で近く発表される、注目度の高い経済指標は小売売上高だ。エコノミスト予想によると、主にガソリン支出の急増を背景に3月の全体の数字は大幅増加が見込まれている。これらの統計は物価変動を調整していない。イラン戦争の影響で家計のガソリン支出が膨らんでいる。
ただガソリンと自動車を除くと、燃料費の高騰により他の家計支出が抑えられ、より弱い需要が示されると見込まれている。
一方、ケビン・ウォーシュ氏が21日に上院銀行委員会に出席し、公聴会に臨む。ここ数十年で最も注目される次期連邦準備制度理事会(FRB)議長指名公聴会となる可能性がある。トランプ米大統領が求める利下げ要求に沿う一方で、戦争による原油価格上昇でインフレをなお警戒する市場関係者を不安にさせない金融政策をどのように構想しているかに、投資家の注目が集まる見通しだ。
原題:War Revives Stagflation Dangers for Global Economy: Eco Week(抜粋)
--取材協力:Francine Lacqua、Anthony Halpin、Swati Pandey、Laura Dhillon Kane、Vince Golle、Monique Vanek、Robert Jameson、Mark Evans、Piotr Skolimowski、Paul Wallace.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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