23日の米株式市場では、配送や決済に関連する企業のほか、ソフトウエア関連銘柄などが急落。人工知能(AI)が世界経済のさまざまな分野に及ぼし得る潜在的なリスクについてまとめたシトリニ・リサーチのリポートが材料視された。

食事宅配のドアダッシュ、クレジットカードのアメリカン・エキスプレス(アメックス)、投資会社ブラックストーンはいずれも一時7%を超える下落となった。リポートで名前が挙がった他の企業も軒並み売られ、ウーバー・テクノロジーズ、マスターカード、ビザ、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、アポロ・グローバル・マネジメント、KKRはいずれも3%余り下げた。

シトリニ・リサーチは22日付のリポートで「本稿の目的は、これまで比較的検討されてこなかったシナリオをモデル化することにある」と説明。「AIが経済を一段と異質なものにしていくなかで、大幅な下振れリスクに備える一助となれば幸いだ」とした。

 

シトリニ・リサーチは今回、2028年6月を想定した仮説的なシナリオを提示。そこでは、AIの破壊的影響によりホワイトカラーの大量失業が発生し、個人消費が落ち込み、ソフトウエア関連企業向け融資の焦げ付きが増え、経済が収縮する展開が描かれている。もっとも、「あくまでシナリオであり、予測ではない」と明確に断っている。

今回の「思考実験」で想定される複数のシナリオの一つとして、シトリニはドアダッシュやウーバーイーツといった配送アプリの支配的地位が、いわゆる「バイブコーディング」型の代替サービスに置き換えられる可能性を挙げた。また、AIエージェントがマスターカードやビザといった決済処理会社の取引手数料を排除し、利用者の負担を軽減しようとする将来像も描いている。

こうした厳しい想定は、AIによる構造変化や地政学的混乱への懸念でここ数週間揺れてきた株式市場の不安を一段と高めるものだ。

グリズル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、トーマス・ジョージ氏は「最悪の事態には至らないとしても、このリポートは実際に構造変化への懸念を高める内容だ」と指摘。「読後の気分が良いとは言えないし、これらの銘柄を保有する投資家の確信を弱める内容であることは間違いない」と述べた。

株式市場では過去約1カ月にわたり、AI脅威論を背景とした売りの連鎖が続いている。売りの発端はソフトウエア企業で、その後、プライベートクレジット会社や保険会社、資産運用会社、不動産サービス企業、物流会社へと波及してきた。

もっとも、アナリストやストラテジスト、投資家の間では、こうした反応の多くは行き過ぎで、現時点でのAI関連リスクを過大評価している可能性が高いとの指摘も出ている。

ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「市場の反応は驚くべきものだ」と語り、「これまで株式市場は悪材料に直面しても驚くほどの底堅さを示してきたが、今や文字通りフィクションで急落している」と続けた。

原題:Software, Payments Shares Tumble After Citrini Post on AI Risks(抜粋)

(第4-7段落を追加します)

--取材協力:Ryan Vlastelica.

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