オルタナティブ資産運用会社の米ブルー・アウル・キャピタルは、個人投資家向けのプライベートクレジットファンド1本について、解約を制限すると発表した。

この発表で、1兆8000億ドル(約278兆円)規模に膨らんだプライベートクレジット市場のリスクが再び意識された。19日の米株式市場でブルー・アウル株は一時10%安と急落し、5日に付けた2年余りで最低の水準に近づいた。同社はAIの進化に対してぜい弱とみられるソフトウエア企業へのエクスポージャーに懸念が高まっていた。

18日の発表によると、ブルー・アウル・キャピタル・コープII(OBDC II)について、これまで可能だった四半期ごとの換金請求を今後は受け付けず、ローンの返済や資産売却などで得た資金を定期的に分配することで資本を返還していく。

また、OBDC II、ブルー・アウル・キャピタル・コーポレーション、ブルー・アウル・テクノロジー・インカム・コープの3ファンドでは、投資家に約束した流動性を供給するため合計約14億ドル相当のダイレクトレンディング(直接融資)債権を売却したと、同社は明らかにした。買い手は北米の公的年金基金や保険会社などだという。

今回の動きは、急成長するプライベートクレジット市場に参入する個人投資家のリスクを浮き彫りにした。通常、投資家は四半期ごとに投資額の一定割合を解約できるが、解約請求が設定の上限を超えた場合、支払いが制限されることがある。

プライベートクレジットを巡っては、市場のバリュエーションや、多額の負債を抱え実績にも乏しい企業への融資の質に対してここ数カ月、不安が強まっていた。アレス・マネジメントやアポロ・グローバル・マネジメント、ブラックストーン、KKR、TPGなど競合のオルタナティブ資産運用会社の株価も下げている。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の元最高経営責任者(CEO)、モハメド・エラリアン氏は、ブルー・アウルの発表がプライベート市場にとっての「炭鉱のカナリア」なのだろうかと問い掛けた。

ブルー・アウルの共同創業者であるクレイグ・パッカー氏は、ダイレクトレンディング債権の売却決定を擁護し、額面の99.7%で売却できたことは「強いメッセージだ」と主張。

「評価額に対する疑い、バリュエーションに対する疑いはある。われわれは常に、ポートフォリオと評価の質を自負していると言ってきたが、言葉だけでは十分ではなかったようだ。だからこそ、われわれは言葉だけでなく、そこへ資金を投じている」と、パッカー氏は19日朝の電話会議で語った。

同氏はさらに、年内にOBDC IIが投資家資本の半分を返還できる可能性があると述べ、この段階で投資家に資金を返還する戦略的取引を考えることは常に想定されていたと説明。「返済資金や利益、追加的な資産売却を通じて、資本を引き続き返還していく」と続けた。

厳しい視線

OBDC IIには、ブルー・アウルが他の上場ビークルとの合併を提案して以降の数カ月、厳しい視線が注がれていた。過去の開示情報によれば、この合併が成立していれば、一部の投資家はおよそ20%の損失を被る恐れがあったとみられる。当時すでに解約請求は、四半期の上限である5%を超えていた。

シチズンズ・ファイナンシャル・グループのアナリストはリポートで、「OBDC IIは、投資家に流動性イベントを創出するか、従来型ビークルを清算して最終的に投資家に資本を返すかの選択を模索してきた。今回の措置は、投資家への資本返還を巡る効率的なプロセスを構築するもので、OBDC IIにとって重要な前進だろう」との見方を示し、融資債権を額面で売却できたことは「ウィンウィン」だと評価した。

ファンドは定期的に投資家の解約を受け付けるが、一度に多くの投資家が資金を引き揚げようとすると、流動性不足に陥る。このため換金請求に応じられるよう、比較的売却が容易な資産を運用者は保有していることが多く、組成された融資債権を直接売却することはあまり一般的ではない。

直近の四半期で、OBDC IIを含むブルー・アウルの非上場ビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC、主に未公開企業向けに融資を行う投資会社)2本では解約請求が5%を超えていた。同社によると、テクノロジー企業に特化した融資ビークル、OTICでは解約請求が純資産価値のおよそ15%に達していた。

原題:Blue Owl Drops as Redemption Halt Stirs Private Credit Fears (1)(抜粋)

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