国際通貨基金(IMF)は18日、日本経済に関する審査(対日4条協議)終了後に公表した声明で、日本政府に対し消費税減税は避けるべきだとの見解を示した。高市早苗首相が進める積極財政を巡り、財政健全化の重要性を強調した。

声明では、「短期的には財政政策のさらなる緩和は控え、最近の財政健全化の成果を保持すべきだ」と主張。財政余力を損なわず、ショックへの対応能力を維持するには財政規律が必要であり、これは国債市場の安定にも寄与すると分析した。

衆院選での大勝後、高市首相は公約に掲げた食料品の消費税2年間ゼロの実現に改めて意欲を示した。減税や現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」導入までのつなぎ措置と位置づけ、財源に赤字国債は充てない方針を強調している。ただ、政権基盤の強化で積極財政に追い風が吹く中、IMFは警鐘を鳴らした格好だ。

声明によれば、消費税減税を生活必需品に絞り、時限措置とすることは財政コストの抑制に資する。給付付き税額控除については、適切に設計されれば、最も脆弱(ぜいじゃく)な世帯に的を絞った支援を提供できるとした。

高市政権の発足以降、財政拡張への懸念などを背景に超長期金利が上昇。1月には30年や40年国債利回りが過去最高水準に達した。円相場は一時1ドル=159円台まで円安が進んだ。

高市早苗首相

2026年度当初予算案は、一般会計総額が122兆円を超え過去最大を更新した。歳出のうち、国債の利払いや償還に充てる国債費は過去最大の31兆円余りで、歳出全体の伸びの4割超を占める。IMFの試算によれば、利払い費は債務がより高い金利で借り換えられるにつれて増加し、25年から31年にかけて倍増する見通し。

声明では、債務水準の高止まりと財政収支の悪化が相まって、日本経済はさまざまなショックにさらされやすいと警告。信頼性のある中期的な財政の枠組みの必要性を主張するとともに、補正予算の編成は予期せぬ大きなショックへの対応に限定するべきだとの見解も示した。国債市場の乱高下回避にもつながるとしている。

ブルームバーグが与党関係者から17日入手した資料によると、財務省は、国債の利払いや償還に充てる国債費が29年度に41.3兆円と、歳出(139.7兆円)の約3割を占めるとした試算を取りまとめた。利払い費は21.6兆円と、同期間に約7割増加する見通し。

正常化路線「歓迎」

日本銀行の金融政策については、過去1年の政策決定を「歓迎する」とした上で、27年に政策金利が中立的なスタンスに達するよう、緩和政策の解除を続けるべきだとの考えを示した。

「インフレ期待は、長期にわたる日本の低インフレによって形成されているため、インフレ期待を目標水準で再度安定化するには、金融政策を徐々に正常化することが引き続き適切である」としている。

日銀は昨年12月、政策金利を30年ぶりの高水準となる0.75%程度に引き上げた。植田和男総裁の下で24年3月にマイナス金利を解除して以降、4回目の利上げとなる。IMFの予測では、政策金利の無担保コール翌日物金利は27年に1.5%に達する見通し。

日銀が進める国債買い入れの減額に関しては、ボラティリティーの高まりが市場の流動性を損なう場合、一時的な国債買い入れなど的を絞った例外的介入を行う態勢を整えておくべきだと指摘。長期国債の需要が一段と弱まった場合には、国債発行をより短期の年限に向けリバランスできるよう、柔軟性を維持する必要があるとした。

声明では、柔軟な為替相場制度に当局が引き続きコミットしていることも評価した。柔軟な為替レートは外的ショックの吸収を助け、物価安定を重視する金融政策の支えとなるとしている。

--取材協力:横山恵利香.

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