(ブルームバーグ):ロシアのプーチン大統領が開始したウクライナへの全面侵攻は丸4年になろうとしている。ウクライナ各地が甚大な損失を被っているが、いまや戦争被害はロシア側にも広がりつつある。
ロシアがミサイルや無人機(ドローン)でエネルギーインフラを繰り返し攻撃し、ウクライナでは数百万人が頼りにできる電気や暖房のないまま、近年で最も厳しい冬の寒さに耐えている。一方、ロシアの西部国境地帯に住む数万人も同様の苦境を強いられている。ウクライナによる攻撃で生活に欠かせないインフラが損傷し、現地当局は緊急措置を講じざるを得なくなった。
ウクライナ国境から約40キロに位置するベルゴロドは、戦争のあおりをロシアで最も受けている。ウクライナのミサイル攻撃でエネルギー網が広い範囲で打撃を被り、市内に住む約32万人は数カ月にわたって温水が利用できない恐れがある。
ロシア政府はウクライナ侵攻を、一般のロシア人の生活からは切り離された出来事として描こうとしてきたが、ベルゴロドなどの国境地域で起きていることは、戦闘がロシア国内に近づいていることを浮き彫りにする。2022年以降にウクライナが甚大な規模で被ったエネルギーシステムや公共サービス、市民生活に対する脅威が、ロシア側でも生じているということだ。
これらロシアの国境地域は人道的危機の瀬戸際にあるにもかかわらず、モスクワの政府高官や国営メディアは、戦争がロシア国内にもたらしている影響をほとんど無視している。プーチン氏は国境地域の住民の窮状に言及せず、政府会合で取り上げられることもほぼない。全国的なテレビ放送でも報道はごくわずかだ。
被害の規模に関する情報は主に地方当局から伝えられるが、詳細は断続的にしか公表されない。国内を戦争のリスクにさらしたとして、プーチン氏を表立って批判する者は誰もいない。
ベルゴロド州のグラトコフ知事によると、州内のセントラルヒーティングシステムに接続している住宅への温水供給が、冬季のうちに復旧する可能性は低い。ベルゴロド市の現在の最低気温はマイナス10度だ。
同知事は先週、攻撃を受けて州内の住民約8万人が暖房を失い、約3000人へのガス供給と約1000人への電気供給が止まったと報告した。当局は住民の一部避難を発表し、子どもや大家族、障害のある子どもを抱える世帯、単身の高齢者らを状況が安定するまで近隣地域へ移送する意向を明らかにした。
同様に国境地帯にあるブリャンスク州の住民も先週末、電気と暖房のない生活を強いられた。ボゴマズ同州知事はウクライナ侵攻開始以来、「最も強力なドローン攻撃」でインフラが打撃を受けたと説明。当局者によると、この攻撃に対して半日で合計120機のドローンを撃墜した。
クルスク州は、ウクライナによる予想外の侵攻から領土を奪回した後もたびたびドローン攻撃に見舞われている。
ウクライナでの戦争の終結を目指し米国が主導する外交的な取り組みも行われているが、2月に入り双方の攻撃は激しさを増した。17日はジュネーブで、ロシアとウクライナ、米国の3者による協議が始まった。
ウクライナのゼレンスキー大統領が15日にソーシャルメディアに投稿したところによると、過去1週間にロシアはドローン約1300機、誘導爆弾1200発以上、ミサイル50発でウクライナのエネルギー施設やその他の民間インフラを攻撃した。
同大統領は16日、キーウ市およびハルキウ、ザポリージャ、ポルタワ、スムイなど各州が被った影響を協議するため当局者と会談した。ウクライナは今週フランスで、欧州および主要7カ国(G7)の支援国とエネルギーに焦点を当てた会合を行う準備を進めていると、同氏はXへの投稿で明らかにした。
原題:Putin’s War in Ukraine Is Also Hitting Russians Harder at Home(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.