(ブルームバーグ):スターマー英首相が政治生命の危機に瀕している。ピーター・マンデルソン元上院(貴族院)議員を駐米大使に任命した判断を巡って側近のモーガン・マクスウィーニー首席補佐官が辞任し、政権は大きく弱体化した。
マクスウィーニー氏は声明で、「ピーター・マンデルソン氏を任命するという決定は誤りだった。マンデルソン氏はわが党と英国、そして政治そのものへの信頼を損なった」と述べ、「尋ねられた際、私は首相にその任命を勧めた。その助言について全面的に責任を負う」と表明した。

実際、マンデルソン氏の起用を事実上決定したマクスウィーニー氏を政権内にとどめておくことは、首相の支持者からも反対意見が出ていた。
事情に詳しい関係者によると、首相に対して辞任を迫ったり、辞任しないなら自分が辞めると脅したりする閣僚が現れることを首相府は警戒している。ある閣僚の補佐官は、首相が今週を乗り切れる確率は五分五分だと語った。関係者は与党・労働党執行部の混乱を率直に話すためだとして、匿名を要請した。
首相はここ数日間、マクスウィーニー氏なしで政権運営を続けられるかどうか思案を巡らせていたと、関係者は説明。2024年の総選挙で労働党を大勝に導いた名参謀を失い、弱体化した首相には、閣僚からトップ交代を求める不満の声が浴びせられている。後任の首相候補には、ストリーティング保健・社会福祉相やレイナー前副首相の名前が挙がっている。
同党のマクドナルド議員は9日朝のBBCの番組で、スターマー首相の進退について「首相次第だ」との認識を示し、「自身が犯した誤りを認め、目の前の問題を認識し、それにどう対処するのかを説明する必要がある。それができないのなら、終わりは近い。きょうでなくとも、数週間以内、数カ月以内にそうなるだろう」と語った。
首相は5日、マンデルソン氏を駐米大使に任命したことについて遺憾の意を示していた。同氏が、性犯罪で起訴され勾留中に死亡した米実業家ジェフリー・エプスタイン氏と関係があったことは周知の事実だったが、「その関係の深さと闇を誰も知らなかった」と釈明。また、「彼はエプスタイン氏をほとんど知らないと偽った。このような欺瞞(ぎまん)は、公務には相容れない」と述べていた。
スターマー首相の進退を巡る臆測が強まる中で、英国債は再び下落。全年限で利回りは上昇し、10年債利回りは一時4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して4.55%となった。
スターマー首相、あるいはリーブス財務相が地位を追われれば、財政規律が緩む恐れがあるとの懸念から、投資家はこうした事態に否定的に反応する傾向がある。
原題:Starmer’s UK Premiership Teeters on Brink as Key Aide Quits (3)(抜粋)
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