(ブルームバーグ):6日の米金融市場では、米主要株価3指数がそろって反発。足元の急落を受けて、押し目買いが優勢となった。米国債は反落。円は衆院選を控え、対ドルでほぼ横ばいとなった。最高値からほぼ半値となっていた暗号資産(仮想通貨)ビットコインも急反発した。
ダウ工業株30種平均は初めて5万ドルを突破して終了。S&P500種株価指数は2%上昇した。アンソロピックの新人工知能(AI)ツールで売り込まれていたソフトウエア株も回復。iシェアーズ拡大テック・ソフトウエア上場投資信託(ETF)は3.5%高となった。
エヌビディア株は7.8%急伸。時価総額は3250億ドル押し上げられた。同社のジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)はCNBCに対し、AI需要は「驚くほど強い」と発言。過剰投資との見方を否定した。
一方、2026年にデータセンターや半導体などの設備に2000億ドルを投じる計画を前日明らかにしたアマゾン・ドット・コムは5.6%下落した。
今週は2025年初めの「DeepSeekショック」を想起させるような激震が市場を襲った。アンソロピックが投入した新たなAIツールがソフトウエア、金融サービス、資産運用セクターなどの株価を直撃。AIの進展で事業モデルが脅かされるとの懸念から、売りは市場全般に波及した。
スレートストーン・ウェルスのケニー・ポルカリ氏は「個人的な見解では、これは行き過ぎだ」と話す。「冷静さを保つべき局面で、パニックに陥る時ではない。長期投資家にとってはまさに買いの好機だ。多くの資産が割安になっている」という。
前日は弱い雇用指標が相次いだが、米ミシガン大学がこの日発表した2月の消費者マインド指数(速報値)は予想外に上昇し、半年ぶり高水準となった。
S&P500種構成銘柄のうち、400銘柄余りが値上がり。S&P500種の構成銘柄を時価総額加重ではなく等分にした「S&P500種イコール・ウエート指数」とダウ平均はいずれも最高値を更新した。小型株中心のラッセル2000指数は3.6%、ナスダック100指数は2.1%それぞれ上げた。
ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、今週起きたようなレバレッジ解消を伴う感情的な売りは「不安をかき立てる」ものの、「正常で健全な調整」だと述べた。株価は永遠に上がり続けるものではないという点で、「木は天まで伸びぬ」の格言を思い起こさせるという。
その上で「現時点では、マクロ環境や企業収益の状況は依然として良好だ。今回の動きは、ファンダメンタルズに揺らぎが生じたというより、ポジション調整やテクニカル面での一服を反映したものだ」と語った。
アルファベット、アマゾン、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフトの巨大テック4社による今年の設備投資額見通しは合計で約6500億ドルと、空前の規模に達している。
こうした巨額投資に見合うだけの成果が得られるのか懸念が強まっているが、ヤルデニ・リサーチの創業者であるエド・ヤルデニ氏は、少なくとも今年に限れば、これらハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)を顧客に抱える企業に多額の売上高と利益をもたらすとの見方を示した。
これだけの設備投資は経済全体にも大きな押し上げ効果をもたらすとも指摘し、今週のテクノロジー株の急落については「テック株崩壊」の始まりとは考えていないと述べた。
米国債
米国債相場は年限全般で下落(利回りは上昇)。前日はリスク資産の急落で逃避買いが膨らんでいたが、この日は強い消費者マインド指標を受けて、一転して売りが優勢となった。
2・10年債、5・30年債の利回り差が縮小。これまでのイールドカーブのスティープ化の動きが後退した。
為替
ニューヨーク外国為替市場では、ブルームバーグ・ドル・スポット指数が下落。ただ、週間では4週間ぶりのプラスとなった。米国株が反発するなどリスク資産への買い意欲が高まり、ドルは主要通貨の大半に対して下落した。
ドル指数は前日比0.4%低下。週間では0.2%値上がりした。
バノックバーン・グローバルのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「今週のドル上昇は主にテクニカル要因によるものと考えられる。1月下旬に見られた強力な下落トレンドは、(次期FRB議長に)ウォーシュ元理事が指名されたことで歯止めがかかった」と述べた。
衆院選を前に、円は対ドルでほぼ横ばい。売り買いが交錯し、156円台後半から157円台前半の値動きとなった。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)の市場戦略グローバル責任者、エリアス・ハダッド氏は、8日の衆院選後のドル・円相場について、円高・ドル安を見込んだ取引を推奨した。高市早苗首相の財政刺激策を巡る懸念は誇張されているという。
「日本の名目国内総生産(GDP)成長率は約4%で推移しており、先行指標も明るい成長見通しを示している。一方、10年物国債利回りは2.2%近辺だ」とリポートで指摘。「成長率が借り入れコストを十分に上回っているため、日本は基礎的財政収支が赤字でも、債務比率を上昇軌道に乗せることなく状態を維持できる」と述べた。

原油
ニューヨーク原油先物相場は小幅反発。市場が米国とイランの核協議の行方を見極めようとする中、値動きの荒い展開となった。
市場は核協議を巡る報道に敏感に反応した。イランのアラグチ外相は、協議は「良いスタート」を切ったと述べた。一方で米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、イランが核燃料の濃縮停止を拒否する立場を維持していると報道。これは米国にとって大きな争点となっている。
世界の原油の約3分の1を供給する中東での緊張の高まりで、指標原油価格にはリスクプレミアムが上乗せされている。トレーダーの間では、地政学的緊張と供給過剰の見通しの両方が意識されている。
それでもニューヨーク原油先物は、週間ベースでは昨年12月半ば以降初の下落となった。米イラン協議が、地域全体への紛争拡大懸念を和らげた。

6日は米消費者マインド指数の上昇も原油相場を支えた。景気減速により原油需要が鈍化するとの懸念が一部後退した。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、前日比26セント(0.4%)高の1バレル=63.55ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント4月限は50セント(0.7%)上昇の68.05ドル。
金
金と銀の相場は反発。どちらもアジア時間に一時大きく下げた後に切り返し、ニューヨーク時間には上昇幅を拡大した。
銀スポットはアジア時間に1オンス=64ドル付近まで急落した後にプラスに転じ、ニューヨーク時間には一時10%余り上昇して78ドルを超えた。
銀は市場規模が小さく流動性が乏しいため、金に比べ価格変動が激しくなりやすい。足元の変動率は1980年以来の水準に達し、投機的な取引などが変動を一段と増幅させている。
一方、より流動性の高い金市場は銀に比べて底堅い。今週に入り多くの銀行や資産運用会社が、金の長期的な強気見通しを改めて示した。急落前に売却していたフィデリティ・インターナショナルのファンドマネジャーは再び買う用意があるとの見方を示したほか、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は金の上昇基調は維持されているとの見解を示している。
もっとも、足元の乱高下を受け、リスクヘッジとしての有効性に疑問も投げかけられている。JPモルガン・チェースのストラテジストは、長期的には金よりもビットコインの魅力が高いとの独自の分析を示した。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時3分現在、前日比183.06ドル(3.8%)高の1オンス=4962.11ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は90.30ドル(1.85%)上昇し4979.80ドルで引けた。
原題:Stocks Roar Back as Dow Average Hits 50,000 Mark: Markets Wrap
Treasuries Sustain Losses as Stocks Rebound; Curve Flattens
Dollar Pares Weekly Gain as Risk Sentiment Improves: Inside G-10
Oil Perks Up as Investors Weigh Status of US-Iran Nuclear Talks
Silver Whipsaws Again as Thin Liquidity Fuels Wild Price Swings(抜粋)
トロント 塩原るみ rshiohara@bloomberg.netニューヨーク 森 茂生 smori1@bloomberg.netニューヨーク 松井玲 akmatsui@bloomberg.net記事についての記者への問い合わせ先:New York Rita Nazareth rnazareth@bloomberg.net記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rita Nazareth rnazareth@bloomberg.netもっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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