(ブルームバーグ):プルデンシャル生命保険は4日、同社社員らが顧客から31億4000万円に上る金額を不適切な手段で受け取っていた問題を受け、9日から保険商品の新規販売を90日間、自主的に停止すると発表した。金融庁が実態把握などに動き出していた。
発表資料によると、ガバナンス体制と営業諸制度の抜本的な見直しを最優先に実施するために販売を自粛する。8日までを準備期間とし、その間は営業社員に日次での活動報告を義務付ける。既に進行している新規契約の取り扱いについては本社から顧客に連絡し、営業社員による不適切行為の有無を確認する。
社員ら100人以上が500人を超える顧客から金銭を不正に受け取っていた不祥事は、3カ月に及ぶ販売自粛を迫られる形となった。同社は米プルデンシャル・ファイナンシャルの日本法人で、2024年には世界全体の売り上げの約2割を占めた。保険業界では近年不祥事が相次いでおり、金融庁では同業界への監督体制を強化する方針を打ち出している。
金融庁の担当者は4日、自粛期間中も組織体制の抜本的見直しを図っていくと認識しているが、問題の真因の分析や再発防止策の実効性を確保していくことが重要だと述べた。
複数の関係者によると、金融庁は先月のプルデンシャル生命の発表を受けて同社への立ち入り検査に入った。片山さつき金融相は今月3日の閣議後会見で、「顧客情報の取り扱いや営業活動の実態などについて確認を行っている。確認した状況を踏まえ、厳正に対応していく」と述べた。

販売自粛に関する発表資料によると、自粛期間中はガバナンス体制の強化や再構築、営業社員の管理強化、コンプライアンスの再浸透のための教育などに取り組むとしている。
また、1日付で退任した間原寛前社長は予定していた顧問に就任せず、同社業務には関与しないとも明らかにした。先月23日の記者会見では、顧問に就任すると説明していた。
米プルデンシャルのアンディ・サリバン最高経営責任者(CEO)は「本件を極めて深刻に受け止めている」と声明で述べた。顧客の信頼回復が最優先課題であり、日本法人が「長年他社と差別化してきた地位の回復に全力を尽くす」と表明した。
S&Pグローバル・レーティングの向山健太郎アナリストは、日本の保険業界で不祥事が相次ぐ背景の一つに、新規契約の獲得に重点を置くあまり、ガバナンスがおろそかになる風潮があると指摘。「一度問題が発生すると信頼回復には時間がかかる」と述べた。米親会社の格付け変更の要否を含め現在議論中だという。
プルデンシャル生命は先月、1991年から2025年にかけて同社が認めていない暗号資産などの投資商品を勧誘して着服したり、金銭を借り受けたりして、計31億円を不適切に受け取っていたと発表した。そのうち約23億円が返金されていない。
同社はすでに第三者の専門家で構成される「お客さま補償委員会」を設置し、被害を受けた顧客に対し、迅速に補償を行う方針を示している。
(金融庁の動きや専門家の見方を追加して更新します)
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