(ブルームバーグ):アップルの「買わせる力」はいまなお健在だ。iPhoneはこの10年、業界最高のモバイルカメラを備えてきたわけではなく、バッテリーやメモリーの仕様でもアンドロイド陣営に後れを取っている。箱に充電器すら同梱されていない。それでもiPhoneは2025年10-12月に、中国市場で過去最高となる四半期売上高を記録した。
これは、iPhoneが容易に代替できる商品ではなく、消費者が他のスマートフォンへ簡単には乗り換えないことを改めて裏付けている。世界最大の携帯端末市場である中国でアップルがこれほど好調な販売を記録した背景について、調査会社カウンターポイント・リサーチのアナリスト、アイバン・ラム氏らに話を聞いた。
同氏によれば、第一の要因は「スーパー・アップグレード・サイクル」と呼ばれる現象だ。新型コロナ禍にiPhoneを購入したユーザーがアップグレードの時期を迎え、一斉に買い替えが進んだという。
「iPhone12とiPhone13のサイクルでアップルは種をまいた。中国ではiPhone13で販売が再びピークに達した。その間、米国の制裁などによりファーウェイが中国の高価格帯市場で存在感を弱め、一時的に競争の空白が生まれた」と同氏は語る。
ラム氏の同僚であるヤン・ワン氏は、次のように補足する。「今回は、iPhone17が単なる機能向上にとどまらず、所有する価値や長く使える安心感の面で、はっきりとした進化が感じられた。一方、アンドロイド陣営は人工知能(AI)を盛んに打ち出しながらも成果を示せておらず、足踏みしているとの見方が広がっている」。
アップルがAI戦略で出遅れたのは確かだ。同社は先月、新たなAI機能の基盤をグーグルに依存する方針を示した。これらの機能は完成度が十分とは言えず、中国市場での浸透も限定的だ。それでも、販売面での影響はほとんど見られていない。
今回の年末商戦では、消費者は買い替えの合理性を重視したとみられる。性能の向上や久々となるデザイン刷新に加え、ヤン氏が「見た目にも新しい」と指摘するように、外観上の変化が一目で分かる点も、買い替えを後押しする要因として受け止められた。
プレミアム市場で流行に敏感な消費者にとって、こうした点がどれほど重要かは軽視できない。使い勝手の改善も相まって、端末に多少の劣化が見られる既存のiPhoneユーザーの多くが、十分に納得できる買い替えだと判断したとみられる。
中国の消費者がより上位・高価格帯の端末を選ぶという潮流も、iPhoneにとって追い風となっている。数年間使い続けることを前提に、より高機能な「Pro」モデルを選ぶ傾向が強まっている。
こうした市場環境に加え、アップル経営陣の行動も一定の評価を得ている。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は数カ月おきに中国を訪問し、同国の企業や顧客との関係構築に力を入れてきた。米中分断への懸念を和らげるうえで、これほど尽力してきた経営者は他にいないだろう。
クック氏によると、他のモバイルプラットフォームからiPhoneに乗り換えるユーザーの数は2025年10-12月に2ケタ増となった。同四半期は着実なハードウエアの進化に支えられ、独自エコシステムによる製品差別化が改めて威力を発揮した。おなじみの戦略ではあるが、これほど巧みに実行できる企業はアップルのほかにない。
原題:China Renewed Its Apple Appetite With iPhone 17: Tech In Depth(抜粋)
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