(ブルームバーグ):英ロンドンの高級住宅地を含む2地区で、高度かつ悪質なサイバー攻撃の影響により、数千件の住宅売買が滞る可能性が出ている。
昨年11月にサイバー攻撃を受けたのは、ウェストミンスター市議会とケンジントン・アンド・チェルシー王立区議会で、行政サービスが混乱し非常計画を発動した。それ以来、洪水リスクや新規開発計画など、特定の不動産や周辺地域に関する公的情報を調べる行政手続きである地方自治体検索の処理が停止している。これらの情報は住宅購入手続きで重要な役割を果たすが、両議会とも解決時期を示していない。
高級住宅仲介を手がけるロンレスで調査責任者を務めるニック・グレゴリ氏は、「住宅ローンを利用して購入する場合、ローン契約締結には地方自治体検索が必要で、これなしでは手続きを進められない」と指摘。「現金購入でローンの審査が不要な場合でも、後になって想定外の問題に直面しないよう調べておくのが賢明だ」と説明した。
英国では昨年、大きな被害をもたらすサイバー攻撃が相次いだ。夏にはマークス・アンド・スペンサー・グループと協同組合系スーパーのコープが攻撃を受け、店舗販売やオンライン販売に支障が出た。自動車メーカーのジャガー・ランドローバーは8月にサイバー攻撃を受けた後、1カ月余りにわたり生産停止を余儀なくされた。
ケンジントン・アンド・チェルシー王立区議会のキャンベル議長は電子メールの声明で「この状況がいら立たしいことは承知しており、システムが安全に復旧し次第、滞っている案件の処理に全力で取り組む」と述べた。さらに、NCCグループとロンドン警視庁、国家サイバーセキュリティセンターの助言を受け、「慎重にシステムの復旧を進めている」とした。
ウェストミンスター市議会の報道官は、システムを無事復旧させるため24時間体制で対応していると語った。
ロンレスのグレゴリ氏は、サイバー攻撃による地方自治体検索の停止について、「地区内の売買成立件数、ひいては地区の歳入に確実に影響するだろう」と指摘した。
英政府は昨年11月に公表した調査結果で、サイバー攻撃で英国が被る年間損失額を147億ポンド(約2兆2400億円)と推定した。
原題:London Cyber Attack Threatens to Hold Up Thousands of Home Sales(抜粋)
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