(ブルームバーグ):自動車部品メーカー、ミツバ株が22日、大幅反発で取り引きを開始。中国による日本向けレアアース(希土類)輸出制限による産業への影響が懸念される中、レアアースを使わないモーターへの取り組みが報道され、今週以降株価は一時86%超上昇した。ただ、技術的な制約などから事態を打開するほどのインパクトがあるかについて、アナリストらから懐疑的な声も出ている。
ミツバ株は、週末に日本テレビの報道で自動車ワイパー用などレアアースを使わないモーター開発への取り組みが紹介されたこともあり、19、20日の取引でいずれも一時ストップ高となった。21日も制限値幅近くまで買われる場面があったが、終値は7.8%安となっていた。。22日は大幅上昇から始まり、その後は乱高下する展開に。午後に入ると下落幅を拡大し、一時13%安の1404円と2024年8月5日以来の日中下落率を記録。終値は1421 円だった。
ミツバのIR担当、田島栄一氏は電話取材で、10年の尖閣諸島を巡る日中関係の緊迫化でレアアース輸出が停滞したことを機に開発を進め、既存のフェライト磁石を組み合わせてネオジム磁石を使ったモーターと同等以上の性能が出せる技術を確立したと述べた。
23年からこの技術を適用した小型モーターを量産し、ホンダや日産自動車、マツダなどに採用されているという。田島氏は今週の株価急伸はこの報道がきっかけで、「個人投資家による買いの集中につながったのではないか」と話した。

ただ、同技術に関しては過去の決算資料などで公表済みである一方、競合のマブチモーターも12年の時点でレアアースを使わない自動車用ドアミラーの販売開始を発表。大同特殊鋼とホンダも16年にハイブリッド車用モーターでレアアースフリーの磁石を実用化し、ミニバン「フリード」に採用すると公表するなどメーカー間で開発競争を繰り広げている状況だ。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)で自動車業界を担当する吉田達生アナリストは、「脱レアアースのモーターは各社取り組んでいると思う」とした上で、ワイパー用のような比較的小さいモーターでは対応しやすいが、駆動用など大型モーターでは難しいと指摘する。レアアース磁石は高い磁力密度・効率性を持つため、代替磁石でレアアースレスのモーターを作るのが、性能・コストの点で容易ではないとも述べた。
BIの若杉政寛アナリスト(テクノロジー担当)はミツバの状況は不明とした上で、ネオジム磁石の代替が比較的容易なのに対し、大型モーターで使われるジスプロシウムへの対応は難しく、使わないことができたとしてもジスプロシウムを使うモーターと比べると競争力で負ける可能性もあるとした。
高市早苗首相による昨年11月の台湾有事を巡る国会答弁以降、中国は対日圧力を強めており、その影響が貿易分野にも及び始めている。6日には中国が軍事利用が可能なデュアルユース(軍民両用)物資の輸出を全面的に禁止すると発表。レアアース規制を強化する可能性もあるとされていた。レアアースは自動車やスマートフォンなど幅広い製品に使われ、調達できない状態が長期化すると生産活動に支障をきたす可能性があり、代替技術への関心が高まっている。
BIの吉田氏は、今回の日中緊張の高まりは脱レアアースの動きを加速させる要因だが、これまでも開発を続けていたはずで、今回の件でにわかに実用化が近づくというのは「楽観的」だとの見方を示した。「開発は鋭意継続しつつ、調達先の多様化・在庫の備蓄といったところが、当面の現実解」だとした。
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