(ブルームバーグ):オーストラリアの電力会社オリジン・エナジーは、同国最大の石炭火力発電所の廃止時期を約2年先送りする。再生可能エネルギー導入がさらに進むまで電力の安定供給を確保する狙いがある。
同社は20日の発表資料で、ニューサウスウェールズ(NSW)州のエラリング発電所の全4ユニットの運転を2029年4月30日まで延長するとした。同州の電力需要の4分の1を供給するこの発電所は27年8月の閉鎖が予定されていた。
オリジンのフランク・カラブリア最高経営責任者(CEO)は、「安全かつ安定した電力供給を支えるため、エラリング発電所はより長く稼働する必要があることが明らかになった」と説明。今回の決定で「再生可能エネルギー、蓄電、送電のプロジェクト整備により多くの時間が確保される」と付け加えた。
同発電所は、より安価な太陽光・風力発電施設との競争で収益性が低下したことを受け、当初は25年8月にも閉鎖される予定だった。しかし、オーストラリアの主要送電網の運営業者が同州でエネルギーの信頼性にリスクが生じると警告したことから、廃止計画は27年まで延期されていた。今回の再延長を受け、20日のシドニー株式市場でオリジン株は一時3.5%上昇した。
ブルームバーグNEFによると、オーストラリアでは石炭火力が電力の大部分を担っているが、老朽化による効率低下と排出削減目標との不整合から、今後10年間で約75%の設備が廃止される見込みだ。
しかし、再生可能エネルギーの導入は予想より長い時間を要しており、「スノーウィー・ハイドロ2.0」などの重要プロジェクトも遅延が生じている。

RBCキャピタル・マーケッツのアナリスト、ゴードン・ラムゼイ氏はリポートで、エラリング発電所の稼働延長は州内の将来的な卸電力価格を下げる可能性があると指摘し、今回の延期は「驚くことではない」とした。
NSW州政府でエネルギー・気候変動を担当する閣僚であるペニー・シャープ氏は声明で、「私の最優先課題は電力供給を維持し、電力価格に下押し圧力をかけることだ」とした上で、「NSW州は老朽化した石炭火力発電所の代替で着実な進展を遂げている」と述べた。
オリジンは、発電所の廃止前にさらなる大規模な保守整備に投資する意向はなく、今回の延長は同社の2030年排出削減目標に影響を与えない見込みだとした。
同社のウェブサイトによると、エラリング発電所はシドニーの北約120キロメートルに位置し、総発電容量は約2922メガワット。1984年に全面稼働した。
原題:Origin Extends Life of Australia’s Largest Coal Plant Again (1)(抜粋)
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