ドローン配送・物流スタートアップの米ジップラインは新たに6億ドル(約950億円)超を調達し、企業価値は76億ドルに達した。同社は商用展開を進めている。

バロー・エクイティ・パートナーズが主導した今回の資金調達ラウンドにはタイガー・グローバルやフィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチ、ベイリー・ギフォードなどが参加した。

ジップラインの企業価値は2024年の資金調達時の50億ドルから大幅に増加しており、事業規模の拡大や商業化を進める能力への信認を示している。

バローの創業者で最高経営責任者(CEO)のアントニオ・グラシアス氏は声明で、「今後5年、10年のうちに、自律型航空機による配送は標準になるだろう」と述べた。

カリフォルニア州サウスサンフランシスコに本拠を置くジップラインは、世界最大の自律型配送サービスを自称し、7カ国で事業を展開している。2014年の創設後、16年にルワンダで血液や医療物資の配送事業を開始した。その後、食品や小売り、消費財分野での配送へと事業を拡大してきた。

米国では、ウォルマートなどの小売店や、チポトレ・メキシカン・グリルなどの外食チェーンと宅配で提携している。チポトレは25年にダラス地域で、ドローンによるブリトーの配送を限定的に開始した。

ジップラインによると、これまでに200万件超の商用配送で延べ2000万個の商品を届けており、飛行距離は累計1億2500万マイル(約2億キロメートル)に達している。今回の調達資金は、米国内事業の拡大と新たな地域への進出に充てる計画だと説明した。

現在、米国では小売業者やテクノロジー企業がさまざまな配送用ドローンを試しており、競争が激化している。ウォルマートはジップラインのほか、アルファベット傘下のウイング、ドローンアップ(DroneUp)、フライトレックス(Flytrex)と提携している。

一方、アマゾン・ドット・コムは、テキサス州とアリゾナ州で自社ドローン部門を運営している。こうした事業の多くは食品、雑貨、医薬品といった軽量の商品の短距離配送に重点を置いているが、騒音やコストの問題に加えて、従来の車両による大規模配送と競合できるかという点に課題が残る。

ジップラインは、長距離飛行向けと短距離の宅配向けの2種類のドローンを運用している。長距離向けでは荷物をパラシュートで投下し、短距離向けではテザー(係留索)の先に付けた小型の荷物容器を使って地上に降ろす。

同社によれば、米国内の配送件数は過去7カ月間、週平均約15%のペースで増加しているという。アフリカ事業も成長を続けており、米政府から同事業向けに助成金を受けているほか、アフリカ各国政府から引き続き受注しているとした。

一方、米国ではトランプ政権がドローン産業の成長を後押しする一方で、空域管理や安全面の規制強化も進めている。

原題:Drone Delivery Startup Zipline Hits $7.6 Billion Valuation(抜粋)

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