高市早苗首相は23日召集予定の通常国会冒頭で衆院を解散する見通しとなった。同政権が高支持率を維持する中で議席増が見込まれる。市場では「責任ある積極財政」の推進を織り込む動きが加速している。

共同通信は、高市首相が通常国会冒頭で衆院を解散する意向を自民党幹部に伝えたことを関係者が13日明らかにしたと報じた。冒頭解散の可能性については、読売新聞が9日に政府関係者の情報を基に報道。2月8日か15日に投開票とする案が出ているとしていた。

高市早苗首相

自民・維新の連立与党は無所属議員の自民会派入りにより、衆院でわずかに過半数を達したが、参院では少数与党に甘んじている。支持率が高いうちに総選挙に打って出て議席を増やし、安定した政権運営を目指すことが狙いとみられる。JNNが10、11の両日実施した世論調査では支持率が78.1%と前月から2.3ポイント上昇した。

高市首相が選挙で勝利し財政拡張が進むとの見方から、外国為替市場では一時1ドル=159円付近と2024年7月以来の水準まで円安が進んだ。

連休明け13日の債券相場は超長期債中心に売りが膨らみ、新発30年債利回りは一時前営業日比12ベーシスポイント高い3.52%と過去最高水準に並んだ。株式は日経平均株価が一時同1800円以上上げて初の5万3000円台に乗せるなど、過去最高値を更新した。

マーケットコンシェルジュの上野泰也代表は13日付のリポートで、市場は「高市首相が衆院選で勝利して政治的な求心力を増し、責任ある積極財政をさらに推進していくことを連想した」と指摘。首相は高支持率下で奇襲をかけて勝負を挑めば勝算はあり、衆院で単独過半数を回復できるとの判断に傾いたのでははないかとみる。

一方で、伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは、財政を緩めれば短期的には経済にプラスの部分がある半面、インフレ懸念も含めた長期金利の上昇圧力が高まりやすく、「もう少し先を見たときにそれが景気にマイナスになる可能性はありそうだ」と話す。

また、円安がさらに進んだ場合、日本銀行による4月の前倒し利上げの可能性はあると武田氏は分析。高市政権が円安を警戒していることは間違いなく、「景気を冷やさない範囲であれば、円安を阻害する利上げは肯定される」との見方を示した。

木原稔官房長官は13日午後の会見で衆院解散について、首相の専権事項であり、市場動向を含めコメントは差し控えると述べた。その上で、為替相場の「行き過ぎた動きに対しては適切な対応」を取り、長期金利を含む金融市場動向も注視すると言明。「財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していく」と語った。

暫定予算

総選挙となれば予算審議は後回しとなり、暫定予算編成の可能性もある。国民民主党の玉木雄一郎代表は13日午前の会見で、仮に冒頭解散となれば、予算案や予算関連法案の年度内成立を期すとの両党間の合意を自民党側から「破るような結果になりかねない」と指摘。「日本経済や物価高騰で苦しむ国民生活に大きな影響を与える」とし、「経済後回し解散と言わざるを得なくなる」と述べた。

高市首相は8日のNHKとのインタビューで衆院解散について問われ、物価高対策を含めた経済政策の効果を早く実感してもらうため、今年度補正予算の早期執行に向けた「目の前の課題に懸命に取り組んでいる」と発言。来年度予算案の早期成立については触れなかった。

1月の衆院解散、2月総選挙なら海部俊樹内閣の1990年以来となる。自民は過半数を大きく上回る議席を確保したが、暫定予算の編成が必要になった。

今週は韓国の李在明大統領が13日から14日まで、イタリアのメロ-二首相が15日から17日の日程で来日し、高市首相と会談する。マーケットコンシェルジュの上野氏は、首相の解散正式表明は日伊首脳会談が終わった後ではないかとの見方を示した。

選挙を見据え、野党も動き始めた。立憲民主党の野田佳彦代表と公明党の斉藤鉄夫代表は12日会談し、選挙での「より高いレベルの連携」を模索することで基本合意した。野田氏は記者団に「中道改革の拡充」で一致したとし、「実効性のある、まさに数が増えるという意味において高いレベルということを願っている」と述べた。

(市場動向を更新し、木原官房長官の会見内容を追加します)

--取材協力:氏兼敬子.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.