(ブルームバーグ):英国のスターマー首相は12日、実業家イーロン・マスク氏が手掛ける人工知能(AI)チャットボット「Grok(グロック)」で作成された性的画像について「非常に不快で恥ずべきものだ」と非難し、本人の同意なく性的な画像を生成・拡散する行為を禁止する法律を厳格に適用する方針を明らかにした。
英政府は今週から、昨年成立したデータ法で定められた、同意のない性的画像の作成を違法とする規定の施行を開始する。スターマー氏は12日の議会で、マスク氏のSNS「XがGrokを制御できないなら、われわれが制御する。被害や乱用から利益を得る者には、自主規制の権利を失う」と述べた。
スターマー氏は、画像が悪用された女性や子どもではなく、悪用する者をXが保護していると批判し、「優先順位が完全にゆがんでいる」と指摘した。
Grokがここ数週間で数千件に上る女性や子どもの性的画像を生成したとされる問題を巡っては世界各国が対応を強化しており、英政府も12日、こうした動きに加わった。英放送通信庁(Ofcom)はGrokを開発するxAIの子会社Xが性的画像の生成や共有を許したことで英国法に違反した可能性があるとして正式な調査を開始した。違反が認定されれば、罰金や業務制限の可能性がある。
ケンドール科学・革新・技術相は同日に下院で、こうした行為をオンライン安全法上「優先して取り締まるべき犯罪」として追加する方針を示した。これにより、「X上を含め、こうした画像を作成・生成しようとする個人は刑事犯罪を行うことになる」と説明。さらに、人物を裸に見せる「ヌード化」アプリ自体を違法化する計画も明らかにした。
ケンドール氏は、Xが先週、画像生成ツールを有料ユーザーのみに制限した対応について「乱用を収益化する行為であり、被害者への侮辱だ」と強く非難した。
同氏は今回の取り締まりについて、言論の自由を制限するものではなく、英国の価値を守り、女性や少女への暴力と闘うためのものだと指摘。英政府は今後も国内約1900万人のユーザーに情報を発信する手段としてXの利用を続ける方針だが、一部の労働党議員が求める「政府アカウントの撤退」については「今後も検討を続ける」と述べた。
原題:UK’s Starmer Escalates Threats Against X, Calls Grok ‘Shameful’(抜粋)
--取材協力:Alex Wickham.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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