人工知能(AI)の覇権を巡る米中対立が激化する中、アジアに駐在する銀行関係者の間で、中国のエンドユーザーに米先端半導体へのリモートアクセスを認める案件への融資に関する警戒感が広がり始めている。

事情に詳しい匿名の関係者によると、こうした案件に融資したり、打診を受けたりした世界的な金融機関の銀行関係者少なくとも9人が、米当局による監視強化への懸念を示した。行内ではリスクに対し、リターンが見合わなくなっているとの議論が浮上しているという。

一部の関係者によると、こうした懸念はJPモルガン・チェースが数カ月にわたり取り組んでいる案件が実質的に進展していない一因になっている。別の関係者によれば、欧米の銀行が昨年、中国との関連を理由に、マレーシア拠点のデータセンター運営会社への融資を見送った際にも同様の懸念が影響した。

こうした動きは、テック企業の資金需要が強いにもかかわらず、貸し手がいかに慎重になっているのかを示している。米政府はエヌビディアの高性能AI半導体の対中輸出を制限しており、中国企業による直接購入は困難となっている。一方、中国国外にあるデータセンター経由のアクセスは現時点では米国の規制に抵触しない。

米財務省にコメントを求めたが、即座には応じなかった。

銀行関係者やプライベートクレジット担当者によると、米国の規制導入後、中国のエンドユーザーが中国国外のエヌビディアの先端半導体にアクセスできるようにする案件を打診された金融機関は他にもあるという。ただ、最終的に融資に至ったかは不明だ。

米カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスのオラフ・グロス実務教授は、米国の銀行にとって、中国のプラットフォームが最終的に恩恵を享受するAI半導体やデータセンターへの融資判断はもはや純粋な商業案件ではないと指摘。米国の対外投資規制や輸出管理、国家安全保障が交差する領域にあるとの見方を示した。

原題:Asia Bankers Fear US Scrutiny of Loans Involving Chips, China(抜粋)

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