米半導体大手エヌビディアは5日、自動運転車の開発を加速するとともに、新世代のロボット開発を支えることを目的とした人工知能(AI)モデルとツール群を発表した。自社技術の裾野拡大が狙い。

同社は自動車が現実世界で「推論」できるようにする車載プラットフォーム「Alpamayo(アルパマヨ)」を披露した。ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)が、米ラスベガスでテクノロジー見本市「CES」が6日から一般公開されるのに先立ち明らかにした。

ラスベガスでのイベントで新製品を披露したエヌビディアのジェンスン・フアンCEO

エヌビディアは、Alpamayoモデルをユーザーが自ら再学習させて活用できると説明。無償提供となるこのモデルは、信号機の停止といった想定外の状況でも、車両が自ら考えて対応できるようにすることを狙っている。

車載コンピューターは、カメラや各種センサーからの入力を解析し、それらを段階的に分析した上で解決策を導き出す。

エヌビディアはドイツの自動車大手メルセデス・ベンツグループとの協業で進めてきた取り組みを基に、ハイウエーでのハンズフリー走行に対応しつつ、市街地でも自律走行できる車両の開発を進めている。

フアン氏は、エヌビディアの技術を搭載した最初の車両が1-3月(第1四半期)に米国で公道走行を開始する予定だと説明。4-6月(第2四半期)には欧州が続き、アジアでの投入は7-12月(下期)になると話した。

「将来的には、道路を走る10億台の車全てが自動運転になる日が来ると想定している」とフアン氏は語った。

同社はまた、ロボット向けのAIモデルや関連技術も発表した。フアン氏はイベントで、独エンジニアリング会社シーメンスと協力し、現実世界でのAI導入をさらに進める方針を示した。

ルービン

一方、エヌビディアが今年投入する計画のデータセンター向け次世代AIアクセラレーター「ルービン」は、現在生産が進められており、顧客は近くこの技術を試用できるようになる見通しだと、フアン氏は述べた。年後半には顧客による導入が見込まれるという。

同社によると、ルービンのチップ6種類全てが製造パートナーから戻り、顧客展開に向けた軌道にあることを示す重要な試験の一部を既に通過した。フアン氏は「AIを巡る競争は始まっている。誰もが次の段階を目指している」と語った。

「需要は非常に旺盛だ」とフアン氏は話した上で、AIソフトウエアの高度化と普及が進む中で、既存のコンピューター資源には負荷がかかっており、より大規模な資源が必要になっていると説明した。

エヌビディアは、データセンター事業者がAIモデルの開発や運用に用いるAIアクセラレーターの最大手として優位性を維持しようとしている。

ルービンは、現在の主力AIアクセラレーター「ブラックウェル」と比べ、AIの学習性能は3.5倍、AIソフトウエアの実行性能は5倍の向上となると同社は説明。新しい中央処理装置(CPU)はデータ処理の中核となる88個のコアを備え、性能は2倍になるという。

エヌビディアは例年よりも早い時期に新製品の詳細を明らかにしている。AI利用の爆発的な拡大を支えてきた自社ハードウエアに業界の関心をつなぎ留める取り組みの一環だ。同社は通常、春に開催する年次開発者会議「GTC」で製品の詳細を発表してきた。

エヌビディアはルービンをベースとするシステムについて、一段と少ない部品数で同等の結果を出せるため、ブラックウェルの場合より運用コストが低くなると強調。マイクロソフトをはじめとする大手クラウド事業者が年後半に新ハードウエアをいち早く導入する見通しだと説明した。

エヌビディアは新製品を強調する一方で、既存の製品も引き続き良好なパフォーマンスを発揮していると説明した。同社はまた、中国の顧客から半導体チップ「H200」に対する強い需要を確認しているという。トランプ米政権はこのチップについて、中国向けの出荷を認めるかどうかを検討するとしている。

コレット・クレス最高財務責任者(CFO)は、ライセンス申請は既に提出済みで、米政府が扱いを判断している段階だと、アナリストに説明した。クレス氏はまた、ライセンス承認の水準にかかわらず、世界の他地域向け出荷能力に影響を与えることなく、中国の顧客に対応できる十分な供給力をエヌビディアは確保していると述べた。

「AIを巡る競争は始まっている」とジェンスン・フアンCEOが発言

原題:Nvidia Debuts New AI Tools for Autonomous Vehicles, Robots (1)、Nvidia CEO Says Rubin Chips Are on Track, Demand Is Strong (1)(抜粋)

(フアンCEOの発言などを追加して更新します)

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