原油相場は年間ベースで大きく下げ、新型コロナウイルス禍に見舞われた2020年以来の下落率となる方向だ。来年にかけて市場心理と取引を支配するとみられる供給過剰への懸念が重しとなっている。

北海ブレント3月限は1バレル=61ドル近辺で推移し、中心限月は5カ月連続の下落となる見通し。年初来では約20%下げている。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は同58ドルを割り込んだ。

 

近く開かれる石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成するOPECプラスの会合や、相次ぐ地政学的緊張などが当面の注目点となる。

今年の原油相場は、OPECプラスなどの供給増や世界の需要の伸び悩みで低調だった。国際エネルギー機関(IEA)など主要予測機関は来年に大幅な供給余剰を見込んでいる。通常ならば強気な見通しを示すOPEC事務局でさえ、緩やかな供給過剰を予想している。時間の経過とともに、価格下落が掘削業者に投資抑制を促し、相場反発への道を開く可能性もある。

サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は「われわれにとって本当の論点は、2026年前半の供給過剰シナリオではなく、投資の先送りが急激で無秩序な原油急騰の確率を高めてしまうという点だ」と話す。

チャナナ氏は、足元で在庫が積み上がる一方、将来的に供給が需要に追い付かない可能性もあることに触れ、「原油市場は26年を迎えるに当たり、短期的な安心感と長期的な不安という二面性を抱えている」と述べた。

供給過剰の兆候が強まる中、来月4日にオンライン会合を予定するOPECプラスは、追加増産を一時停止する計画を維持する見通しだと、参加国代表3人が明らかにした。

北海ブレント3月限はシンガポール時間31日午前10時21分(日本時間同11時21分)現在、0.1%安の1バレル=61.26ドル。WTIの2月限は同57.88ドル。

原題:Oil Heads for Deepest Annual Loss Since 2020 on Surplus Concerns(抜粋)

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